【年末年始のトランプ流発信術――イスラエル問題からCIAまでTweet!】

トランプ次期大統領の就任まで2週間あまりとなった。年末年始、トランプ氏のTweetをウオッチしていたが、トランプTweetはいよいよ本格的な政策にまで踏み込んできた印象だ。国連安保理で討議されていた、イスラエルの入植禁止決議案について、トランプ氏は2016年12月22日には「拒否権を使うべきだ」とTweetし、オバマ政権が「拒否権」を使わず、棄権にまわってイスラエル現政権に「ノー」を突きつけると、23日には「国連は1月20日以降、違ったものになる」と宣言した。そして「イスラエルよ、頑張れ!」とネタニヤフ首相にエールを送った。
イスラエルのネタニヤフ首相も早速「トランプ次期大統領、あなたの暖かい友情とイスラエルへの明快な支持に感謝する」というTweetをトランプ氏に返している。
アメリカとイスラエルの首脳がTwitterで見解を公表し、エールを交換し合うもの初めて見る光景だが、トランプ政権下では、こういった首脳間の意見のやり取りが、国務省やホワイトハウスを通さずにTwitter上で行われるようになるのかもしれない。

その間にも、トランプ氏はクリスマスの挨拶を写真つきでTweetし、「大統領らしさ」をしっかりと演出している。もちろんユダヤ民族の祭事であるハヌカーのロウソク写真も欠かさない。
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12月29日には、オバマ政権が、ハッキングによって大統領選挙に介入したという理由でロシアに制裁を課したのに対して、プーチン大統領が対抗措置を見送ると、トランプ氏はTwitterで「(プーチンの)見送り策は素晴らしい。彼がたいへん利口なことはいつも知っていたよ!」と、今度はプーチン大統領へエールを送った。
トランプ氏のデジタルメディアの使い方はよく練られていて、140字を超える長い意見や声明はFacebookに、連続した写真や動画がある場合はInstagramなどへ誘導するようになっている。

大晦日のTwitterは、トランプ一家のグリーティング・フォトのオンパレードで、息子のドナルドJr.や娘のイヴァンカたちのセレブ感あふれる写真でいっぱいだ。
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さすがに1月1日だけは、1度もTweetがなかったが、チェックしている限り、これは投票日以降、11月14日、25日に続き3度目の、静かな一日だった。
しかし、年明け2日以降は、Tweetを加速させているようで、3日以降のTweetは20本を超え、その内容も、ゼネラル・モーターズのメキシコ生産のクルマに高関税をかけるという脅しから始まって、逆にメキシコの生産ラインの廃棄を決めたフォードを褒め上げ、「アメリカ・ファースト」の政策が早くも功を奏していると自画自賛するTweetを発した。

さらにロシアのハッキングについて、CIAの調査結果に疑念を表明したうえでCIAのブリーフィングの遅れを非難するTweet(CIAはブリーフィングの日程を決めたことはない、と当惑している)や、アメリカ社会の大問題である医療保険制度オバマケアを批判するものまで、多岐にわたっている。いずれも、次期政権内や与党となる共和党と調整がついているとは思えない内容とタイミングだ。
CNNやMSNBCなど、24時間ニュースチャンネルでは、トランプ氏の重要なTwitterが発信されるたびに、Breaking NewsとしてTweetの接写が画面いっぱいに放送され、その後にスタジオでも専門家の討論が延々と続くという流れが出来上がっている。
トランプ次期大統領は、7月末以来となる記者会見を1月11日にニューヨークで開く、とこれまたTwitterで発表した。