米国の視聴データ調査会社ニールセンNielsenは、1年半ほど前にデジタルデバイスを含む多角的な視聴データ調査をスタートさせると発表していたが、いよいよ3月1日から、Total Content Rating (TCR)がスタートした。
現状ではニールセンの視聴データ調査方法は約4万8千世帯にアタッチメントを設置し、Degital viewのデータも含めて収集すると同時に、昔ながらの日記方式による200万件を超える全米調査を行っている(日誌形式は来年早々に機械式調査となる予定)。
今回導入が始まったTCRは広範なデータ収集プラットフォームだ。TV視聴率とTVデジタル視聴率(PCあるいはスマホで、TVと同じCMがついた同一コンテンツの視聴)に加え、VODコンテンツ視聴率(VODサービスのサブスクリプションを含むTVでのVODコンテンツ視聴。広告はリニアとは別、あるいはno ad)にDigital Content
視聴率(さまざまなデジタル・プラットフォームで視聴されたリニアとは広告の異なるコンテンツ、あるいはno ad)を加えた数字をトータルに収集・公開していこうというものだ。
ニールセンによれば、このTCRによってネットワーク各局の編成は、マルチプラットフォームに適応したきめ細かな番組編成が可能となると同時に、Buyer側にはフラットフォームと視聴層をマッチさせ、リーチしやすい組み合わせを考えるためのデータを提供できる、としている。
しかしながら、ネトワーク各社は、「調査のデータの信憑性に疑問がある」として、TCRの全面公開に待ったをかけた。去年12月に最初に声を上げたのがNBCUniversalで、「データの精度が高いという確証を得るまで延期すべきだ、精度が低いまま導入したら、とんでもないことになる」と主張した。これに各社も声を合わせたことで、結局3月1日からのTRCの実施は、各社への自社データは提供するが、競合する他社のデータは供給しない、という限定的なものとなった。けれども、TCRのより詳細なデータをマネタイズに活用すべきだという声も強く、CBSのムンベスMoonves会長は、「アドバタイザーもわれわれも、もっと完璧な全体像を欲している。視聴数が多いことは、そのまま収入増につながる、ということだ」と、データの活用に積極的な姿勢を見せている。