【スポーツ権料はTVとFacebook、Googleの戦いになる――

CBSをNetworkの視聴率トップに押し上げたレス・ムンベス会長兼CEOが、米国スポーツ・イベントの要であるNFL (National Football League) について次のように発言して注目を集めている。
「次の権料をめぐる戦いはネットワークと、GoogleやFacebookのような企業との間での戦いになるだろう」。
 これは3月7日に行われた“Deutsch Bank 2017 Media & Telecom Comference”でのスピーチで、CBSはNFLの放送権を2022年まで保持しており、この発言は2022年を見越した発言だ。そしてレス・ムンベス会長はこう続けている。「キャッシュの潤沢なデジタル各社との戦いは避けがたいが、NFLはテレビの側に残り続けるだろう。……デジタル技術の巨人たちはNFLに参加したがっている。NFLはテレビの最高のコンテンツだからだ。われわれは巨大な取引に果敢に進んでいくが、デジタル企業も参入しようとするだろう。しかし、NFLはいまでも放送という聖なる舞台を信じてくれていると思う。

テレビ放送はマスの視聴者にリーチする最も確実で効果的な方法だからだ」。レス・ムンベス会長は、スーパーボウルもNFLのゲームパッケージもテレビが放送しており、デジタル媒体が持っているゲームパッケージはない、スーパーボウルが示したような1億1300万人もの視聴者にはonlineではリーチできない、と述べている。
 たしかにFacebookやGoogleには、いまのところ、スーパーボウルの迫力満点の生中継を伝えるノウハウと基盤はない。
しかし、スポーツのlive-streamingをめぐるFacebookの動きもまた、注目を集めている。The Wall Street Journal(電子版3月10日付)によれば、FacebookはアメリカとカナダのプロサッカーリーグであるMajor League Soccer(MSL)、およびそのスペイン語放送権をもつUnivisionと契約を結び、2017年のシーズンのうち22試合を英語でstreamingすると発表した。

もともとこの22試合は英語でのテレビ放送は予定されていなかったもので、この他にMLSはゲーム解説の番組 “Matchday Live”を40本、Facebookに独占で提供するという。
 この契約は2017年だけのもので、MLSの全374試合からすれば、わずかな試合数にすぎないが、世界全体で月間18億6000万人のユーザーを有するFacebookにとっては果敢な実験だ。さらにロイター通信によれば、Facebookはメジャーリーグベースボール(MLB)ともlive-streaming権の交渉を進めていると言われている。すでにWorld Surf LeagueやNBA(National Baasketball Association)のマイナーリーグとも契約を交わしたFacebookは、スポーツイベントの分野にも戦略的に参入しようとしているようだ。