長期タイムシフト視聴の可能性は?――35日測定で14%アップ

米国の調査会社ニールセンによると、米国内では視聴者のタイムシフト視聴がますます強まっていて、これに合わせて、より長い期間で視聴率を計測した場合、明らかに伸びが見られたと言う。
 アメリカの視聴率指標ではC7(番組放送後1週間にわたるCM視聴率)がCM料金の設定に取り入れられているが、新シーズンのプライムタイム番組の宣伝とCMの予約販売を交渉する重要イベント「アップフロント」に向けたプレス・プレゼテーションで、ニールセンは、35日視聴測定の結果を発表した。
 たとえばABCの人気コメディ”Modern Family”の2月の番組を35日視聴(番組放送当日を含めた35日)で計測したところ、通常のC7に比べて14%アップとなったと言う。NBCのドラマ”This Is Us”、CBSの10年近く人気の続くシチュエーション・コメディ”Big Bang Theory”も、それぞれC7の数字より13%増加した。

この結果についてニールセンのサラ・エリクソンSara Erichson副社長は、視聴者の間では「溜め込んで後で見るstacking stuff to watch later」視聴傾向がますます強まっている結果だと見ている。(“B&C”4月18日) 
米国ではTVに接続するデバイスが多様化し、Roku 、Apple TVなどのdigital media player set-top boxやスマートTVが普及した現在、測定期間を長くして視聴傾向の現実に合わせることが重要であり必要だ、とエリクソン副社長は主張している。
 この傾向はニールセンの他の調査結果によっても明らかで、昨年10‐12月期の18歳以上の1日のLive TV 視聴時間は1年前より4分、2年前からは7分減少し、4時間23分となっている。ことに18歳から24歳の若い層では、1週間のLive TV視聴時間はDVRと合わせても15時間36分と、前年から41分も減っている。65歳以上の視聴層だけがLive TVの視聴時間を増やしているのが現状だ。

一方スマートフォンの1日の平均利用時間は2時間32分と前年の2倍に伸びている。
しかし、この調査が示しているように、決して番組そのものが見られなくなっているわけではなく、大きく変わっている視聴の形態に合あった調査法と数値化が必要なことを、ニールセンの調査は示していると言えるだろう。