Scripted programsからReal eventsへ――TV制作の傾向

米国のTVネットワークや制作スタジオ、ローカルTV、NetflixやAmazon、Huluなどのインターネット企業が去年一年間に作ったオリジナルのscripted programs(ドラマ、コメディー、台本のある収録ショー番組などのシリーズ)は455作品に達し、これまでの記録となった。しかし今年はscripted programs離れが進むと見られている。
 Netflix、Amazon、Huluなどのインターネット系映像配信企業が今年scripted programsにあてるオリジナル作品制作費と、他社制作作品のライツ購入費は、総額で110億ドル(約1兆2320億円)に上ると予想されている。
 一方、ニールセンの調査によれば、2017年の1-3月期では、TVのオリジナルドラマの平均視聴率は前年比で15%も落ちている。これに対して台本のないリアリティ・ショーは1%アップ、スポーツイベントは6%アップ、ニュースは22%アップとなっている。

ドラマ、コメディーはインターネット系映像配信を含めたSVODで、ライブイベントはTVで、という視聴傾向が定着してきているようだ。あるケーブルテレビの幹部は「一過性で視聴者に好まれる上質のドラマができても、視聴者や広告主のステーション・イメージが変わるわけではなく、高額ドラマに出資する意味はない」とまで言っている(Bloomberg、5月24日)。
 若年層に支持されているMTVも、5年前にコメディーなどscripted programsの制作に資金を投入したが、思うような結果が出ず、台本のないリアリティ・ショーに方向転換した。
 ディズニー系メディア企業A&Eのロバート・シェアナウRobert・Sharenowジェネラル・マネージャーは「これだけチャンネルの選択肢があり、競争が厳しいなかでは、ひとつヒットしたショーがそのチャンネルの評判を変えてしまうような時代は終わったのだろう」と述べ、「その局のブランド力がもっともよく知られている分野に注力するべきだ」と語っている。 
※図は1-3月期のTVのジャンル別視聴率(前年比)