FOXのローカル局28局を束ね、米国内の約1億4000万TV所有世帯の37%をカバーするFOX Television Stations
Groupが、深夜帯の編成戦略を大き変えた。FOX系列では、23時以降の深夜帯は、他局と対抗するためにシンジケーションSyndicationと呼ばれる、ハリウッドのさまざまな制作プロダクションが作るコメディー・ドラマやコメディー・ショーが中心だった。しかしフランク・シーチャFrank
Cicha番組担当上級副社長は「そういった時代は終わった」として、今後はそれぞれのローカル局がニュース情報番組を制作・放送する、と発表した。FOX TSGにはニューヨーク市、ロサンゼルス、シカゴ、ダラス、サンフランシスコ、ワシントンD.C.、ヒューストンなどの大都市のローカル局が含まれている。
シーチャ上級副社長は「こうした局が将来も存在していける唯一の方法は、昼も夜もライブにこだわることで、その場になくてはならないことだ」と語っている。
シンジケーションの制作するコメディーでは、番組の広告収入は局とシンジケーションとで折半されていたため、今後は広告収入が各局で独占できることも有利だと判断した。FOXではアトランタやタンパなど、すでにいくつかのローカル局で、深夜帯にコメディーをやめて、ニュース情報番組を放送し始めたが、25歳から54歳の層の視聴率に、ほとんど変化はなかったとしている
現在でもローカル局は22時からデイリーニュース中心の報道番組を編成しているが、これに加えて23時30分からニュース情報番組を放送する。
シーチャ氏は、HuluやNetflixなどの動画配信がこれだけ増え、オンデマンドでも、見たい番組がいつでも見られるようになった現状では「もはやコメディーは、それほど『その場になくてはならない』ものではなくなってきている」との認識を示した。
今後の深夜帯ニュース情報番組は、FOXが強いトランプ政権中心の政治ニュース、それぞれの地域の政治、経済、事件のニュースに加え、FOXと同じくマードックのニュース・コーポレーションに属するタブロイド紙『ニューヨーク・ポストThe New York Post 』とも協力しながら「ゴシップ情報」などの「ヤワネタ」を中心に組み立てていくとしている。