番組制作費が高騰

 米国では、テレビドラマやコメディに加えて、NetflixやHulu、Amazonなどのオリジナル作品の動画配信の制作が盛んになったことで、ドラマやコメディ・ショーの制作費が高騰している。
 “Variety”(9月26日)によれば、タイム・ワーナー系ドラマ専門ケーブルチャンネルHBOの大ヒット作品『ゲーム・オブ・スローンズGame of Thrones』の最終シリーズは1話(60分)の制作費が1500万ドル(約16億5000万円)に達したという。これほど評価が高く人気のある作品でなくとも、いまや動画配信のオリジナルドラマの制作費は一時間作品で1本500万から700万ドル(約5億5000万円、7億7000万円)となっている。
 

ことにオリジナル作品の制作に力を入れているNetflixは、1980年代のスティーヴン・スピルバーグ作品を意識し、VFXを駆使したSFホラー作品『ストレンジャー・シングズStranger Things』(2016年7月配信開始)では、一話600万ドル(約6億6000万円)の制作費だったが、今年公開した第2シリーズでは、一話800万ドル(約8億8000万円)を投じた。さらに、豪華なセットやロケを取り入れて、女王エリザベス二世の生涯を描くドラマ『ザ・クラウンThe Crown』(2016年11月配信開始)では、一話あたり1000万ドル(約11億円)をかけている。
 Netflixの財務責任者デイヴィド・ウェルズDavid Wellsは「1時間2000万ドル(約22億円)のテレビドラマはありうるだろうか。われわれは、見てくれる多くの人がいる限り、カネを出すだろう」と語っている。

またAmazonもオリジナルのアクションドラマ『ジャック・ライアンJack Ryan』に一話800万ドル(約8億8000万円)の制作費をかけている。スーパーヒーローのコメディ『ザ・チックThe Tick』(2016年8月配信開始)は、派手なVFXをふんだんに使った30分のシリーズだが、この作品には500万ドル(約5億5000万円)を投入している。
 これは、動画配信のOTT各社が、世界各国へのグローバル配信権を10年から20年という長期で保有しているためで、米国内のユーザーだけでなく、今後さらに進展が予想される各国の動画配信市場での需要を見据えた戦略となっている。