米国では日本の期首にあたるのが、”Premiere Weekプレミア・ウィーク”と呼ばれる9月末から10月にかかる週で、今年は9月25日から10月1日までの1週間だった。この週は話題の新作ドラマを投入したり、ニュース・スポーツ番組でもセットやコーナーを改編したりと、視聴者の注目を集めるために工夫をこらすのは、日本と同じだ。
ところがABC, CBS, NBCの3大ネットにFOXとCW(CBSとTime Warnerが50%ずつ出資する有力テレビ局)を加えたプレミア・ウィークのプライムタイム視聴率は、昨年比で11%もダウンした。
これはDVRやVODによるタイムシフト視聴と動画配信による影響だと見られている(”Los Angeles Times”,10月4日)。
この7日間のプライムタイムの平均視聴数は以下のようになった(比較は対前年)。
CBS 950万視聴 マイナス15%
NBC 780万視聴 マイナス11%
ABC 580万視聴 マイナス1%
FOX 310万視聴 マイナス14%
ABCは新しいドラマ”The Good Doctor”が若い視聴者を中心に大当たりして、昨年並みの視聴数となった。
18歳から49歳の視聴層の減少は深刻で、同じ時間帯の視聴数を掲げる。
CBS 240万視聴 マイナス24%
NBC 270万視聴 マイナス16%
ABC 170万視聴 横ばい
FOX 130万視聴 マイナス18%
ニールセンによれば、2011-12年には36.3%だった18-49歳層の同時間帯合算視聴率が、この6年で8%も減少し、28%となった。
テレビ各社はDVRやVODでのタイムシフトを含めた3Cや7Cをベースにした視聴率を営業に用いている他、on-line platformでの動画視聴を視聴データに組み込んだ広告営業を活発化させている。
上記5局の2017-18年広告収入予想は91億ドル(約1兆円)と前年比4.1%増が見込まれる(Media Dynamics調べ)など、テレビの広告収入は依然として堅調だが、ますます多様化する視聴形態をどのようにデータとして有効に活用していくか、またデジタルで収集したビッグ・データを、細分化したターゲット広告にどう結び付けていくか、そしてどれだけミレニアル層にアピールするドラマやコメディを制作できるか、を大きな課題としている。