CBSとViacom、またも統合の動き

 

 2016年の10月に「ViacomとCSB,再統合の動き――巨大メディア企業の再登場か」というリポートを書いたことがあったが(2016年10月7日のリポート参照)、その時は総帥サムナー・レッドストン(94歳)の「時期尚早」との一言で、再統合は立ち消えになった。その統合話が、ここにきて、また浮上してきている

 もともと2006年にTVネットワークとラジオを含むCBSコーポレーションと、MTVやComedy Centralなどのケーブルテレビやパラマウント映画などを傘下に置くViacomの2社に分離するまでは、一つの企業体だった両社の統合話が再燃したのは、AT&Tによるタイム―ワーナーの買収や、ことにディズニーがFOXのアセットを買い取るなど、業界再編への大きなうねりが強く影響している。さらにNetflixやAmazonなど、質の高いオリジナル作品を送り出しているデジタルOTT企業と対抗するためには、事業規模の拡大とインターネット動画配信への万全の備えが不可欠だという判断からだ。

 今回の統合案は、サムナーの娘シャリー・レッドストンがイニシアチブを握っていると見られているが、背景にはCBSの視聴率を三大ネットのトップに押し上げたCBSのレスリー・ムンベス社長兼CEOの後継人事も絡んでいる。

 ムンベス氏は2021年6月に契約期限が切れるが、シャリー・レッドストンは現在ViacomのCEOをつとめるボブ・ベイキシュ氏をその後任に置く心づもりだと伝えられている。

 ViacomとCBSの再統合が成立し、AT&Tによるタイム・ワーナーの買収が承認されれば、米国内の通信キャリアとTVネットワーク、映画制作は以下のような系列関係になる。

 それぞれの系列がケーブルTVや制作スタジオを持ち、デジタル動画配信のディストリビューターとしても機能することになり、制作、配信、マネタイズの一貫した流れを備えることになる。