NBC、平昌五輪への取り組み

 

 ピョンチャン五輪まで2週間を切った。米国内の独占放送権を持つNBCの放送、配信の全貌がわかった。

 NBCは2032年まで、放送権のみならず、全競技のストリーミング権をもつが、今回もリオ五輪に続き、NBC系のケーブルチャンネルだけでなく、あらゆるプラットフォームを駆使して五輪を伝える。

 放送・配信の内訳は、ネットワークのメインチャンネルNBCで176時間、ケーブルチャンネルのNBCSNが369時間、CNBCで46時間、USANetworkで40.5時間となり、いわゆるテレビ放送では合計631.5時間の総放送時間となる。

 このほかにNBCOlympics.comとNBCSports appを基本としたデジタル配信で1800時間、総計2400時間+αだ。

 開会式のライブ・ストリーミングは初めての試みで、地上波ではもちろんプライムタイムで全国放送となる。VR(バーチャル・リアリティー)やAR(オーギュメンテッド・リアリティー)を駆使したストリーミングになるが、収入を支えるのがテレビCMであることは変わらない。

 これまでの冬季五輪を見てみても、30秒スポットCM料金は2006年のトリノ五輪では93,400ドル(約1036万円)、2010年ヴァンクーヴァーで94,300ドル(約1046万円)、2014年のソチでは112,800ドル(約1252万円)となっていて、今回のピョンチャン五輪では12万ドル(約1332万円)を超えることが確実だ。先週、NBC Sports Groupのマーク・ラザラス会長は、「ピョンチャン五輪は稼いでくれるだろう」と期待感を表明している。

 広告収入の総額は、2006年のトリノでは8億3100万ドル(約922億円)、ヴァンクーヴァーでは8億900万ドル(約897億円)と減少したものの、2014年のソチでは9億7700万ドル(約1084億円)と過去最高を記録している。NBCでは今回も広告収入はすでに9億ドル(約999億円)を超えることは確実だとしていて、デジタル広告の伸びと、スーパーボウルとのセット販売の伸びに自信を見せている。

 NBCはピョンチャン五輪の広告セールスでは、世帯視聴率ではなく、2歳以上年齢層別のTota Audience Deliveryのマトリックスで販売しており、今回は初めてデジタルパッケージのみの販売も行っている。

 冬季五輪の米国内メディア権料も高騰して、2006年のトリノでは6億2000万ドル(約688億円)だったが、今回のピョンチャン五輪では9億6300万ドル(約1068億円)にも上っている。

 五輪担当のジム・ベルNBCエグゼクティヴ・プロデューサーは、五輪は単なるスポーツイベントではなく、人間そのもののイベントだと言い、あらゆるディバイスに届けることによって、すべての人が、大型の高精細画面でも、スマホでも、好きな時に好きなかたちで五輪を楽しむことができれば、さらに視聴者の拡大が期待できると確信しているようだ。