このレポートで何度も報告しているように、米国内のみならず、世界のマーケットで、数年前まではTVネットワークと映画スタジオが主流だった動画コンテンツの制作と配信が、デジタル動画サービス各社の参入によって、ビジネスのイニシアチブを激しく争う戦場となっている。
JPモルガンの調査によると、2017年に63億ドル(約6993億円)だったNetflixは、今年は80億ドル(約8880億円)をオリジナル作品の制作費に投入し、Amazonは50億ドル(約5550億円)を投じるという。
オリジナル作品の戦略では後手に回っているFacebookは、今年も去年並みの10億ドル(約1110億円)という予算をあてている。
NetflixやAmazonの制作費は、ハリウッドの巨人NBCUniversalやFOX、Disneyに匹敵する規模で、TVネットワーク大手のABCやCBSの年間制作費30億から40億ドル(約3330億から4440億円)に比べても、すでにオリジナル・コンテンツの制作では米国のみならず、世界でもトップクラスのコンテンツ・プロバイダーとなっていることがわかる。
AmazonはPrime Videoで主な視聴契約料を稼ぎ出しているが、NFLの”Thursday Night Football”では広告をつけている。そのAmazonもNetflixも今後数年のうちに、本格的な広告パッケージをアドバタイザー向けに売り出すと見られている。これは、Online広告総体では17%を占めるにすぎない動画広告市場が、2020年には22%まで増加するとみられる中での重点的な経営戦略だ。
また、スポーツがOnline動画広告市場のカギを握ることも確実で、これまでに収集したビッグデータを活用し、独自のalgorithmによってターゲットを絞り込み、インタラクティブ広告に結びつける絶好の市場であるとして、各社はスポーツ権の獲得にいっそう積極的になっている。
ちなみに2017年はスポーツ専門チャンネルのESPNを抱えるDisneyはスポーツ権料だけで58億ドル(約6438億円)を、FOXも50億ドル(約5550億円)を支払っている。
いまのところ、Amazonの持つ ”Thursday Night Football” とTwitterが持つMLBのゲームがインターネット企業の握る人気ゲームだが、権利関係の更新が迫るこの2、3年の間に、ネット動画企業が積極的に権利を取りにくることは確実だ。