NBC、プライムタイムのCM量を10%減少へ

 

 NetflixなどCMなしの動画配信が人気を集め、オンデマンドでCMをスキップする視聴者が増える中で、ネットワーク各社は6秒CMの導入など新たなCM戦略の構築に知恵を絞っているが、NBCUniversalは、今年秋からプライムタイムのCM量を10%削減すると発表した。このCM減量はTVネットワーク本体のNBCのみならず、CNBC、Telemudoなどのケーブル・チャンネルを含む50を超えるポートフォリオで一斉に行う。

 NBCUのリンダ・ヤッカリーノ Linda Yaccarino広告販売部門責任者は「われわれはライブや動画の視聴体験を変える必要があることを感じてきた。視聴者はもっとCMの数が少なく、もっと自分の興味に応えるCMを欲しがっている」と語っている。

 計画は、プライムタイム内のCM量を20%減らし、各番組の前後にそれぞれ1社限定で60秒のプライムCMを置き、このプライムCMはアルゴリズム・データ分析を応用したターゲットCMとして広告効果を高め、高めの価格に設定することによって、全体として収入を減らすことなくCM量を10%減とするという大胆なものだ。

 NBCUによれば、この計画は2年にわたるマーケット調査を重ねた結論で、ターゲットCMとの組み合わせによってCM量を削減する方針は、他の時間帯にも広げていく予定だという。

  これと同時に、NBCUは秋から新形式のCMを導入する予定だ。“Scripted Commercial” は、番組の内容がそのままコマーシャルにつながるもので、たとえばドラマでスーツ姿の登場人物がコーヒーショップに入ってカップを手に取り、一口飲んだところ、それがシームレスにCMになっていく。

 また”Interactive picture-in-picture” は、スポーツ中継などでのワイプ画面をCMにつなげるもので、画面に出ている選手がそのまま別画面内のCMに登場するというものだ。

 新たなCMの全貌は今年5月のアップフロントで明らかになる予定で、今年のアップフロントは秋の新番組の紹介、番組販売とともに、各社のCM戦略が注目の的だ。