アマゾンのアジア戦略

 インドネシアのバリ島で開かれていたAPOS (Asia-Pacific Optical Sensors Conference)で、Amazon Prime Videoのアジア太平洋地域コンテンツ部門の責任者ジェイムズ・ファレルがアジア戦略を語った。

 Amazonの動画配信サービスはインドでは2016年12月にスタートしたが、そのマーケットについてファレル氏はこう述べる。

 「動画配信サービスはつねに契約者の実態人口統計の変化によって変わってくる。最初の二百万から五百万人の契約者が、二千万から一億人になると、大きな違いがある。所得の低い層のカスタマーが増えるにしたがって、好まれるコンテンツが変わったのだ。」

アメリカでのAmazon Primeの年間契約料は119ドル(約13200円)だが、Amazonはインドでは年間契約999ルピー(約1659円)からスタートしている。

「インドのポテンシャルは大きい。Primeの契約者が一番急速に伸びる地域だ。値段は手ごろだと思う。われわれはトップの富裕層1%にコンテンツを届けているわけではないからだ」。

 Amazonでは、2017年半ばからExcel Entertainmentとの共同制作でスタートしたクリケットドラマ(英語)が大ヒットした。インドの若者層は世界中からコンテンツをピックアップして見ていて、ドラマも毎回ごとに見るのではなく、ストーリーをまとめて見る傾向(binge-watching)が圧倒的に強く、このドラマもそうした傾向を分析して制作したという。

 

 2015年にサービスをスタートした日本のマーケットについても語っている。

「まず12作品を作る予定だと表明したが、いまは8本が制作され、東南アジアで流通させている。人気タレント松本人志を起用し、吉本興業と共同制作した”Documental”は好調で、5シーズン目を迎えている。第2シーズンはこの3月にAmazonの世界市場に流した。日本の視聴者は何かcrazier(とんでもなくおかしなもの)を見たがっており、テレビや他では見られないものをAmazonで見たがっている。吉本興業の芸人たちは、日本のバラエティの黄金期を思い出させるコンセプトを展開したがっている。われわれは仲人のようなものだ。芸人たちは自分たちが何をしたいかを知っており、カスタマーとファンは何を見たいかを知っている。われわれはただこの二つをつなぐだけだ。」