ディズニーのアイガーCEOの経営戦略

 

 21世紀Foxのアセットを買収し、エンターテインメント界でさらに巨人となったDisneyのボブ・アイガーCEO(Bob Iger、68歳)が、来年スタートする動画配信を含め、経営戦略を語った(Hollywood Reporter, 9月20日)。

 アイガーCEOは2006年のPixer買収以来、M&Aを繰り返して経営規模を拡大してきた。そして今年6月には21世紀Foxのアセットを710億ドル(約7兆8800億円)で買収し、時価総額1600億ドル(約17兆7600億円)を超える総合コンテンツ企業となった。最新の四半期収入は152億ドル(約1兆6872億円)で前年同期7%アップ、利益は5%アップの42億ドル(約4662億円)に及ぶ。

 ディズニーは来年から自社とFoxのコンテンツの動画配信サービスを開始する予定で、アイガーCEOはNetflixを念頭に置いて、「生き残るだけではなく、数年前とはまったく異なった世界の中で成功しなければならない」と語っている。

 アイガーCEOが掲げる三つの目標は、①すぐれたコンテンツの制作、②そのコンテンツをマーケットに届ける新しい方法、③真にグローバルになること、だ。動画配信は②と③の目標を達成するために欠かせない。

 アイガーCEOは語る。

 「動画配信はDTC(direct-to-consumers)で、ますますパーソナルになり、カスタマイズされた視聴経験を提供できる新たなマネタイズの方式だ。DTCは成長するビジネスだ。既成のチャンネルを見ることは減るだろうし、特定のブランドやプログラムを売ることにさらに注力することになるだろう。私はNetflixやAmazonのなし遂げたことを評価し、尊敬しているが、われわれはコンテンツの面からはアドヴァンテージをもって彼らのビジネスに乗り込むことになる。勝負は量ではなく質だ。

 Netflixがいくら使っているか知らないが、われわれもESPNやABC、ABCニュース、それにFoxの買収に巨額を投じている。しかし、新しいディストリビューションモデルに移行していくのだから、カネがかかることは承知している。Netflixなど第三者からのライセンス収入は減少するだろう。しかしこのDTCビジネスを成功させるためにコンテンツにさらに投資する計画だ。これは2019年の収支に影響するだろう。しかしこの変身は成し遂げなければならないと、役員全員が支持してくれている。成功のためには利益率が下がる時期があるだろう。それは正しいことだ。なぜならわれわれはショートゲームではなく、ロングゲームをやっているからだ。」