「TVビジネスは変化が遅い、TV広告はターゲット化されていない

 

 Time Warnerを買収した米国通信大手AT&Tが、9月25日新会社を設立して広告ビジネスに乗り出した。Xandrというその広告会社は、ターゲッティッド広告とonlineデジタル広告を主な市場として、Google とFacebookという二大プレーヤーに占拠されているマーケットに果敢に挑もうとしている。新会社Xandrのブライアン・レッサー(Brian Lesser)CEOは、広告ビジネスはあくまでもTVの番組作りを資金的に支えるためであり、「すばらしいコンテンツの発展に燃料を注入するためだ」と語っている。

 AT&Tのランドール・スティーヴンソン(Randall Stephenson)CEOは、新会社設立に際して次のように述べている――(”Broadcasting & Cable”, 9月26日)

 

 

 広告の半分であるデジタル広告はたいへんうまく機能している。デジタル広告はターゲット化されているからだ。デジタル広告からは良いフィードバックが得られている。それによってキャンペーンをうまく展開し、広告を必要な人びとへ届けることができている。しかし、もう半分のTVの広告はあまりにもターゲット化されていなさすぎる。

 われわれは優れたコンテンツ、データ、DTCのディストリビューション、テクノロジーをもっている。それらを総動員してコンシューマーとアドヴァタイザー双方に、広告が役立つものとなる会社、Xandrを設立した。われわれは契約者のあらゆるデータを持っている。視聴者データも、携帯電話の位置データももっている。こうしたものをプログラム化し、ターゲット化することがわれわれの求めるビジネスモデルだ。これまでの視聴の形では収入が年率3から4%減少しているが、デジタル分野では16から17%も成長しているのだ。われわれの目標は、うまくターゲット化された広告を届けることだ。

 エンターテインメントの世界は動きが速い、しかしビジネスモデルとして見た場合、そしてコンテンツのディストリビューションの方式として見た場合、TV産業は、これまで私が関わった他のどの産業よりも惰性の世界だ。動きが遅い。コンテンツを届ける方法、コンテンツのマネタイズの方法を変えなければならない。壁をいくつも乗り越えなければならない。そのプロセスと転換は心躍るものだと私は考える。

 われわれの目標は、つねにわれわれのチャンネルで何か新しく、フレッシュなものが見られることだ。一年を通じて視聴者に選んでもらえることだ。そして役員として真っ先にすべきことは、資本のリソースをどう的確に配分するかだ。だからある分野にはより多くの資本が投下され、ある分野には少なくなる。しかし、それは3年から5年を見越した時間枠でやらなければならない。

  (XandrのレッサーCEOのインタビューは以下を参照)

https://money.cnn.com/2018/09/25/media/att-xandr-advertising/index.html