2020年モバイル広告市場、他メディア合計を超える

 

 eMarketer(10月16日)の予測によると、米国内では2020年には、モバイルの広告市場が、テレビ、ラジオ、新聞、屋外ディスプレーなど、他の広告を束にした合計額を超える見通しだ。

 今年の予測でもモバイル広告は761億ドル(約8兆4471億円)で698億ドル(約7兆7478億円)のテレビ広告を上回る見込みだが、eMarketer では、2020年にはモバイル広告市場は1132億ドル(約12兆5652億円)を超え、米国メディア広告全体の43%になると見ている(ただし、下図では、テレビ・ラジオのデジタル広告分は除外)。

 eMarketerのマーチン・ユトレラスMartin Utreras副社長は、「もっとも強いテレビでさえ、ライブ・スポーツやニュースはオンラインに移行しはじめている。人びとはそういったコンテンツを、モバイル・デバイスを使って消費するようになっている。視聴者はこれまでのメディア(traditional media)を捨て続け、広告収入もそれに従っている」と語っている。

 すなわちメディア戦略とはモバイル戦略のことであり、クリエイティブでブランドメッセージを大切にすることは、「モバイル・ファースト」の世界のコンシューマーにリーチできるようにデザインすること――とeMarketerは書いている。

 さらに2022年末にはモバイル広告はテレビ広告の2倍を上回り1413億ドル(約15兆6843億円)まで伸びると予想されている。テレビ広告は今年度比2.4%減の681億ドル(約7兆5591億円)だ。

 予想の根拠として、ユトレラス氏は「テレビのニュースやスポーツがオンラインに流れ始めていると同時に、フェイスブックやグーグルなどは2ケタの伸びを続けており、その伸びはYouTubeやフェイスブックのデジタル動画配信によるためだ」としている。

 米国では、コンテンツをさまざまなデバイスへ多様に展開し、ことにモバイルへの傾きを大きくするコンシューマーへ「いつでもどこでもコンテンツと広告を届ける」方策が、メディアの今後を左右していくと見られていると言える。