NBCU、ターゲット・データ広告をインハウス化

 

 NBCUniversalが、データ広告の自己最適化システムを独自に開発し、インハウスでAdvanced Advertisingに乗り出すことになった。

 NBCUによれば、社内で開発されたオプチマイザーは、これまで外注してきたものよりはるかに正確性にまさり、ビッグデータを使った広告のリーチの組み立てから結果測定まで、安価でおこなえることになったため、ターゲット広告を含めたインハウスでのAdvanced Advertisingに舵を切ることにしたとして、クリシャン・バーチア副社長は次のように語っている。「われわれのビジネスをトランスフォームするため、われわれは第三者にゆだねず、自分の手で広告戦略とその可能性を作ることができるようになった。マネタイズのもっとも重要な手段を手中に収めたのだ」。

 いつ、どこで、誰が、どのような動機でNBCUの何のコンテンツを見ているかがわかるAudience graphと、そのデータの最適な応用を組み立てるオプチマイザーは、NBCUの30人のエンジニア・チームによって作られたという。NBCUは今年4月、フォックスやヴァイアコム、ターナーなどと共同で、それぞれのデータを出し合いながら、ターゲット広告のための視聴者データを作成する Open APというコンソシアムに参加したが、今後は親会社の通信大手コムキャストが蓄積する膨大なビッグデータや、ニールセンなどのデータを取り込みながら、インハウスでのデータ分析を主な武器にするわけだ。

 またオプチマイザーも、オンエア中(あるいは配信中)のコンテンツのエピソードやシーンに合わせた広告メッセージを個人ごとに最適化して送れるようなアルゴリズムを利用したもので、コンテキストに合致したプログラミングになっている。

NBCUとしては、将来的には外部の企業にもこのデータとオプチマイザーのシステムを売り出す可能性も視野に入れているようで、コンテンツ業界でもビッグデータとアルゴリズムがビジネス化していくことが予想される。

またこれにともなって、NBCUではセールス、プランニング、マーケティング、リサーチ部署の60人をリストラすることも発表した。すなわちビッグデータのスペシャリストとテクノロジーに経営資源を集中する、ということのようだ。NBCUの広報は「この急激な変化を続けるマーケットでつねに競争のベストポジションにいるために、われわれはビジネス全体をチェックする。その結果、今回はセールススタッフの入れ替えが必要となったのだ」と語っている。

 

ちなみに米国企業では終身雇用制をとっていないため、新たな事業をスタートさせる場合、社内スタッフの異動よりも、レイオフと新規分野での即戦力の採用が一般的であるため、労働力の流動性はきわめて高く、「中途採用」という言葉自体がない。