老舗スタジオ、ParamountがNetflixのオリジナル作品制作へ

 

 106年の歴史を誇り、『ゴッドファザー』シリーズやジャック・ライアンシリーズなどの名作、話題作を送り出してきたハイウッドの名門スタジオ、パラマウントが、ネットフリックスのオリジナル作品を制作することになった。

 これはパラマウントを傘下に収めるヴァイアコムの11月16日の決算説明会でParamount Pictureのジム・ジャノプロスJim GianopulosCEOが明らかにした。来年から自前の動画配信をスタートするディズニーや、自社コンテンツの確保に力を注ぐAT&T傘下のワーナー・ブラザーズが、ライブラリーの豊富さを背景に、数をそろえて一気に勝負をかけようと、ネットフリックスから違約金を支払ってまで過去の自社制作作品を引き上げているのとはまったく逆の動きだ。

 歴史あるパラマウントが動画配信プラットフォームの「サプライヤー」になる決断に衝撃が走ったが、ジャノプロスCEOは「これは広く付加的な収益を得る潮流だ」と語った

  この発表の前日には設立6年目にもかかわらず、『レディー・バード』や『ムーンライト』などのヒットを飛ばしたインディー系制作スタジオA24 が2018年度は10億ドル(約1110億円)をオリジナル制作予算に振り向けているアップルへの作品提供を決めだけに、パラマウントの決断は、ハリウッドの地殻変動を示すものとして受けとめられている。

 あるアナリストは「2018年は映画業界の新しいパラダイムの年だ。この合意は、ディズニーのFOX買収、AT&Tのタイムワーナー買収へのリアクションだ」と見ている。

 ここ数年、パラマウントはネットフリックスにライブラリーの作品を提供してきていたが、スコセッシ監督がパラマウントで制作中だった『アイリッシュマン』を、制作途中にもかかわらず、ネットフリックスが1億500ドル(約116億円)で買い上げたことから、両社のあらたなビジネス展開に拍車がかかったようだ。

 ヴァイアコムは、CBSとの合併話もムンヴェスCEOの解任で宙に浮き、他社に比べてOTTへの戦略が不透明だったことから、ことに今回の決断は注目されていると言えよう。しかし、これまで映画館上演を中心としてきた老舗映画スタジオが、映画館を通さない、動画配信プラットフォームに作品提供を始めることに対してはさまざまな不安が語られている。