NBC、ストリーミングサービスに参入へ

 

 4大ネットワークのひとつ、通信大手Comcast傘下のNBCUniversalが2020年から動画配信サービスをスタートする。Comcast CableとSkyの「トリプルプレイ」(pay-TV、高速ブロードバンド、固定電話のセット)に加入している約5200万人の契約者は無料で、それ以外にも通信ライバルのAT&TやCharter、Dishなど、他のpay-TVサービスの契約者も無料となる予定だ。

 Streamingサービスの動画には広告が付き、pay-TVに契約していない場合は月額12ドル(約1330円)の契約料が必要となる。

 サービスの内容は1500時間におよぶNBCテレビの番組と数百時間分のユニバーサル映画のライブラリーをDTC(direct-to-consumer)で配信するもので、漸減するpay-TV契約者数をつなぎとめるスタンド・アローンの方策だ。1時間あたり3分から5分のCMをはさみこむ。

 米国の動画配信マーケットにはさまざまなサービスがあるが、CM付きで長尺コンテンツを無料視聴できるものはほとんどない。Huluは定期的にCMが入るが、月額は7.99ドル(約800円)だし、長尺コンテンツの雄Netflixも月額契約料が必要で、YouTubeは短尺モノのユーザー提供コンテンツが中心でしかも広告付きとなっている。

 NBCUのスティーヴ・ビュークCEOは「今日人気の動画配信プラットフォームで最も視聴されているショーの多くがNBCUの制作したコンテンツだ。われわれの新しいサービスは、現状のプラットフォームと違って、NBCUの強みである自社の偉大なコンテンツとテクノロジーと、Comcast Cableの広範なディストリビューションの規模に基づいている」と述べて自信をうかがわせた。

 NBCでは、オンデマンドコンテンツと同時に、ニュースやスポーツもライブで配信する予定だ。そこにはもちろん2020年の東京五輪も含まれる

 また現在ComcastはHuluの株式の30%を保有しており、ディズニーがFoxのアセットを買収すれば、ディズニーはHuluの株の60%を握ることになることから、NBCがHulu株を手放すのかどうかが注目されているが、NBCは来年始めるこの独自のstreamingサービスに注力すると見られている。

 Comcastがstreamingサービスを開始すれば、ディズニー、AT&Tを含めて、通信、コンテンツの大手企業がすべて動画配信に参入することになり、これでNetflixやAmazon Prime Videoなどの巨大streaming企業との対抗する図式が整うことになる。