ローカルTVとOTT

 

 2019年2月7日の”TVNewsCheck”は「OTTにローカルTVニュースの居場所はあるか?」というリポートを掲載している。概要を紹介する。

(http://cjni.com/local-tv-news-ott/)。

 

「最近の輝かしい話題はOTT――Over TheTopだ。それは理解できる。たくさんのテレビ離れがあるし、ネットフリックスやアマゾンなどがOTTサービスに乗り出しているので、ローカルTVもそのシェアを取ろう、といいうわけだ。しかも会社からは新しい収入となる配信を考えろというプレッシャーもある。OTTこそが向かうべき方向に思えるだろう」とリポートは始まり、「可能性を探る人には拍手を惜しまないが、OTTを始めようとする前にいくつか問うてみて欲しい」として、まず自問すべきいくつかの問いを挙げている。

 ■あなたのOTTのゴールは何か? ちょっと新しいことをテストし、つま先だけ踏み入れてみるのか? あるいは本当にOTTのビジネス計画を作るのか。 何を物差しにするのか。何を持って成功とするのか。1か月に10ストリームなのか、あるいは1万ストリームなのか。それをどのようにマネタイズするのか?

■見てもらうために、あなたのOTTにどんなコンテンツを置こうとしているのか? アピールする点は何で、何がそうでないのか? 

■そのコンテンツはOTTのために作られたものか、あるいはあなたの放送コンテンツを配信に乗せただけなのか(だいたいは同じコンテンツをウェブサイトかアプリに乗せておわりだろう)? もしそうなら、誰かがOTTでそれを見たいような理由はあるのか? 

■ユーザーがネットフリックスやアマゾンのOTTサービスに行く場合、ユーザーはプロバイダーから何かそこにしかないコンテンツを期待しているのだ。えてしてOTTを、特別な秩序もなく、ただコンテンツの続きを垂れ流すものとして考えてはいないか。OTTユーザーはそんな配信コンテンツを、わざわざ選んで見たいと思うか?

■あなたはライブやブレーキング・ニュースや天気をそのプラットフォームに乗せるか? もし否であれば、なぜなのか? それこそがローカルニュースが求められるカギとなるものであるのに。

■あなたのコンテンツ契約は、OTTへのコンテンツの再利用を禁止するものか? ことにライブの同時再利用に関してはどうか?

■OTTのコンテンツの「ビジネス面」をマネージできるスタッフは現状でいるか? もし、現状いないのであれば、そうしたスタッフを補充する収益の余裕があるか? 数年前猫も杓子もウェブを始めた時、多くの企業が技術面を構築したり、マネタイズするスタッフを補充するビジネス計画を持っていなかった。ローカル局のウェブが暗礁に乗り上げたのは、それがひとつの原因だ。彼らはスタートアップ・ビジネスに本気で取り組まなかったのだ。

 

 そしてリポートはこう続けている。「ローカル局はOTTから離れているべきだと言っているのではない。わたしたちはOTTに行かざるを得ない。ただし、それはけっして、じぶんたちの動画から何をリサイクルできるか、というものではない。OTTユーザーは、『選んで見る』というその見方ゆえに、放送の視聴者とはまったく違ったコンテンツを必要としているのだ。このOTTをリサーチすることがカギなのだ。テレビ離れしている若い人たちは何を探し求めているのかを理解することが、重要な焦点なのだ。ネットフリックスは去年8千億円を超える制作費をコンテンツに投入し、ディズニーは、OTTのスタートアップに莫大な費用を要するため、今年度の利益がダウンするとまで株主に表明している。彼らは、人びとが何を見たいと思っているかという調査も検査もせずに、それだけの出費をすると、あなたは思っているのだろうか?」

 

 そしてリポートは最後に今年OTTに参入するアップルのコンテンツ・リーダーの言葉を引用して終わっている。

 

「テレビの人たちはわかっていないんです。コンシューマーは自分のさまざまなデバイスで観たり聴いたりしたいものをピックアップし、選んでいるんです。あなたがたのニュース番組をそのままデジタルで見たいわけではありません。あなた方は、あなたたちが彼らに見てもらいたいものではなく、彼ら自身が見たいものを、彼らに選ばせる必要があるのです」。