NBCU、4月からマルチスクリーン測定を採用

 

 放送と通信の垣根がほぼ取り除かれている米国では、スマホを始め、あらゆるデバイスに自社コンテンツを届けることが至上命題だが、それとともに、多様なデバイスで消費されるコンテンツの視聴データをどのように吸い上げ、効果的なアルゴリズムを利用してクライアントへのキャンペーン企画への説得力ある武器とするかが、大きな課題となっている。

 米四大ネットワークのNBCUniversalは、4月18日からこれまでのニールセンの視聴率測定に加えて、親会社である通信大手コムキャスト系データ会社FreeWheelのデジタル広告効果測定マトリックスを利用したクロス・プラットフォーム測定を採用すると発表した。これは、いまやコンシューマーがテレビ受像機だけでなく、スマートフォン、タブレット、パソコン、コネクテッドTVなど多様なデバイスで動画を見ている「視聴行動」を最大限カバーするマルチスクリーン測定だ。この測定方法の導入によってNBCUniversalは、デバイスの種類やどこで見ているかにかかわらず、データを取り、利用できることになる。 

 FreeWheelのゼネラルマネージャー、デイヴ・クラーク氏は「これによってあらゆるスクリーンにまたがる統一された動画戦略を作り出すことができるようになる」と抱負を語っている。またNBCUの広告部門責任者ヤッカリーノ氏は「ひとつのデータ測定だけで活動する企業は、この業界ではもう主流になりえない。われわれにはリーチすべき先が多数あるのだ。コンシューマーは動き回っており、多様な方法で視聴するという行動は変わらない。だとすればひとつのデータに頼るのは非合理だ」と述べている。

 またNBCUはこれに合わせて、アドレッサブルVOD、OTTのデータを処理するData Plus Math社との提携を発表した。これによってマルチスクリーン測定の詳細な自前データを、多様に分析しながらクライアントに提供できるようになる。Data Plus MathのヘクターCEOは、「テレビの視聴測定はもはや受像機だけではない。スマートTVやセットトップボックス、VODもストリーミングもOTTも計測できなければならない。クロス・プラットフォーム測定によって、視聴データは本当に信頼でき、価値あるものなることだろう」と語った。

 米国市場では、「自社データは最大のアセット」と言われ、いかにして第三者のデータに頼るのではなく、自前のビッグ・データを収集、分析し、有効に提供するかがカギとなっている。