CNNの行方――AT&T改革の中で

 

 前回伝えたように、AT&TによるM&Aでワーナーメディアは組織の大改編を迫られているが、CNNはどう変わるのだろうか。再度確認しておくと、ワーナーメディアには現在3つのセグメントがあり、そのうちのひとつ、ターナーブロードキャスティングはニュース、アニメ、エンタメ、デジタルを事業とし、そのひとつにCNNがある。

 

WarnerMedlia 

Turner Broadcasting

o News: CNN, HLN, CNN en Espanol

o Animation: Adult Swim, Cartoon Network, Boomerang 

o Entertainment: truTV (comedy-based reality), TBS (comedy, some sports),

  TNT (drama, some sports), TCM (classic movies)

o Digital: Film Struck (niche SVOD targeted at film fanatics, operated

  by Turner Broadcasting), Super Deluxe (incubator for online media) 

Home Box Office (HBO)—HBO, Cinemax 

o Digital channel offerings: HBO Go (TV Everywhere), HBO Now (OTT)

Warner Bros.—Warner Bros. Pictures (film production), Warner Bros. Television

  (TV production), Warner Bros. Animation, Castle Rock Entertainment (film subsidiary),

  New Line Cinema (film subsidiary), DC Entertainment (comics entertainment

  development studio), Warner Bros. Digital Networks (DramaFever (K-drama SVOD) 

 

 CNN Worldwideのジェフ・ズッカー社長は2020年までの任期を残しているが、改編後はターナースポーツとニュースを統合した組織を率いることになる。

 現状、CNNは24時間ケーブルニュースの激しい競争の中で苦戦している。プライムタイムの視聴率は100万にまで伸びたが、2016年の大統領選挙後は、保守派の牙城FoxNewsと、リベラル色の強いライバルMSNBCに大きく後れを取っている。 

 

 

 CNNを傘下に収めた米通信大手AT&Tのジョン・スタンキーCEOは、報道には一切関与しないと宣言しているが、おもな狙いは、CNNのデジタル部門のようだ。スタンキーCEOは、1000万人のモーバイルユーザーが一日10分でもCNNのコンテンツに接するようなデジタル戦略を目標としている。

 AT&Tとしては、ただCNNのプライムタイムCMを売るのではなく、新たに設立したデジタル広告専門会社Xandrの管理するビッグデータとアルゴリズムを利用して、FacebookやGoogleのように、視聴層の個人をターゲットとしたデジタル広告を主戦場とする方針だ。CNNの側もデジタルサイエンスの追加投資をスタンキーCEOに求め、CTO (チーフ・テクノロジー・オフィサー)も外部から雇い入れた。

 現状でもCNNのデジタル部門はすでに1億2000万というMUV(Monthly Unique Views)を誇るが、ここ数年は漸減しており、2500万ドル(約27億5000万円)で買収した動画シェアアプリの会社Bemeを昨年閉じ、また去年2月にはリストラの一環としてレイオフを実施するなど、迷走していたと言える。

 視聴率が低迷しているとはいえ、CNNの2018年度の利益は12億ドル(約1320億円)と、これまでで最高を記録しており、広告のカギとなる25歳から54歳までの視聴層ではFoxNews、MSNBCと遜色なく、この視聴層をどのようにデジタル広告のターゲットとして取り込んでいくかが課題となっている。