インハウス広告会社Xandr、売上げ好調

 

 Time Warnerを買収した米国通信大手AT&Tは、昨年9月Xandrというインハウスの広告会社を設立したが、ターゲッティッド広告とonlineデジタル広告を主な市場とし、Google とFacebookという二大プレーヤーに挑んだ試みは、好調に推移しているようだ。

 AT&Tのランドール・スティーヴンソン(Randall Stephenson)CEOは、昨年、新会社設立に際して次のように述べていた――(”Broadcasting & Cable”, 9月26日) 

 

 広告の半分であるデジタル広告はたいへんうまく機能している。デジタ ル広告はターゲット化されているからだ。デジタル広告からは良いフィードバックが得られている。それによってキャンペーンをうまく展開し、広告を必要な人びとへ届けることができている。しかし、もう半分のTVの広告はあまりにもターゲット化されていなさすぎる。 

 われわれは優れたコンテンツ、データ、DTCのディストリビューション、テクノロジーをもっている。それらを総動員してコンシューマーとアドヴァタイザー双方に、広告が役立つものとなる会社、Xandrを設立した。われわれは契約者のあらゆるデータを持っている。視聴者データも、携帯電話の位置データももっている。こうしたものをプログラム化し、ターゲット化することがわれわれの求めるビジネスモデルだ。これまでの視聴の形では収入が年率3から4%減少しているが、デジタル分野では16から17%も成長しているのだ。われわれの目標は、うまくターゲット化された広告を届けることだ。 

 エンターテインメントの世界は動きが速い、しかしビジネスモデルとして見た場合、そしてコンテンツのディストリビューションの方式として見た場合、TV産業は、これまで私が関わった他のどの産業よりも惰性の世界だ。動きが遅い。コンテンツを届ける方法、コンテンツのマネタイズの方法を変えなければならない。壁をいくつも乗り越えなければならない。そのプロセスと転換は心躍るものだと私は考える。 

 われわれの目標は、つねにわれわれのチャンネルで何か新しく、フレッシュなものが見られることだ。一年を通じて視聴者に選んでもらえることだ。そして役員として真っ先にすべきことは、資本のリソースをどう的確に配分するかだ。ある分野にはより多くの資本が投下され、ある分野には少なくなる。しかし、それは3年から5年を見越した時間枠でやらなければならない。 

 

 2019年第3四半期(7月~9月)のAT&Tの広告収入は、昨年同期比1.2%増の15億ドル(約1650億円)に留まったが、Xandrの広告収入は13.3%増の5億400万ドル(約554億円)となり、9か月トータルでは14億ドル(約1540億円)となっている。

 AT&Tの中でも広告収入の稼ぎ頭であるTurner TV networkの第3四半期は、3%減の9億1300万ドル(約1004億円)となっている。国内のエンターテインメントネットワークが振るわなかったことが原因だ。

 このことは、従来型TV広告収入は現在も屋台骨であることは変わりないが微減となっているのに対して、Xandrが狙うターゲット広告、on-lineデジタル広告は大きな伸びを示していることが顕著にうかがえる。