Xandr, データ・プラットフォームClypdを買収

 

 米国の通信大手AT&Tのインハウスで、データ分析とビッグデータに基づいたデジタル広告を扱うXandrが、10月18日、Clypdを買収した。Clypdは2012年に設立されたデータ分析の広告プラットフォーム企業で、ドイツのTV局RTLなどが作るSeries Bファンディングが2015年に1940万ドル(約21億3400万円)を投資した若い企業だ。

 Clypdは、従来型のTVとOTTをともにターゲットとしたデータドリブンのプログラマティック広告を提供するが、この買収によって、AT’&TはXandrに強力なプラットフォームを付け加えたことになる。これによってWarnerMedia(CNN、TNTなど)の他、DirecTVやVice Mediaなど、AT&T傘下の動画マーケットを横断的にデータ分析し、最適ソリューションを提示するテクノロジーを得たと言える。 

 TVネットワークは従来型CPMを超える利益につながるようなアドレッサブル広告の価格モデル設計に苦慮しており、どのようなプログラミングが有効か、またどのような利用者データソースがもっとも利用価値があるかを、ネットワーク全体で標準化していく必要に駆られている。 

 Xandrのリーチは毎月1億5000万人に及んでおり、8500万視聴者データを持つComcast系のAmpersand、大手TVネットワークとニールセンなどのコンソシアムのProject OARなどと比しても、Xandrは乱立するデータスタンダードの確立とアドレッサブル広告市場で有利な立場に立ったと言え、この買収で一気に市場支配を確立する目論みだ。