民主党、大統領選デジタル広告に82億円を準備

 

 2020年の大統領選挙まで1年を切った。11月5日の“New York Times”は、現状では、民主党のサンダース候補でもウォーレン候補でもトランプ大統領の再選を防げず、バイデン候補のみが辛勝する可能性がある、とする世論調査を発表したが、ここからモノを言うのが、カネの力だ。

 トランプ大統領に挑む民主党は、FacebookやGoogle、YouTube、Instagram、Huluなどへのデジタル選挙広告に、7500万ドル(約82億5000万円)をあてるために基金をスタートさせた

 一方のトランプ大統領はすでにここまで2600万ドル(約28億6000万円)をGoogle、Facebookなどに広告料として投じている。これはバイデン、ウォーレン、サンダース、ブティジャッジの民主党4候補を合わせた額を超える。

 今回デジタル広告基金を集める政治活動団体Acronymはすでに目標の40%を集めたと言い、アリゾナ州、ミシガン州、ノースカロライナ州、ペンシルベニア州、ウィスコンシン州など、次の大統領選挙でも間違いなく激戦となる州でのデジタル広告に集中投下する予定だ。しかし基金の責任者は「7500万ドルでも十分とは言えない」と語っている。

 実際トランプ陣営側は、この10月だけで1900万ドル(約20億9000万円)をOn-lineで集めており、プロ野球の頂点を決めるワールドシリーズの番組でも「民主党は社会主義者だ。奴らは90%も課税するぞ。化石燃料に反対だから飛行機にも乗れなくなるし、ステーキも食べられなくなるぞ」という反民主党キャンペーンを張っていた。 

 4年ごとに行われる大統領選挙と2年ごとにある議会選挙のテレビ広告は、いまやローカルテレビ局の経営を支える大きな収入源となっているが、2020年の選挙はデジタル広告でも巨額の広告費が使われることになりそうだ。また、各陣営がどんなビッグ・データを、どのようなアルゴリズムで活用していくのか、きわめて注目されるデータ・アナリチクスの戦いだ。