3大ネットワークのテレビ局NBCを傘下に持つ米国のテレコミュニケーション大手Comcastは、来年4月からスタートするOTTストリーミング・サービス”Peacock”のオリジナルコンテンツ制作とマーケティング費用に、今後2年で20億ドル(約2200億円)を投入することを明らかにした。
同じく通信大手AT&Tと合併したWarnerMediaは、同じく来年スタートするOTTプラットフォーム ”HBO Max”に1年間で同じく20億ドル(約2200億円)の投資を決めており、それに続く2年間は、それぞれ10億ドル(約1100億円)ずつの追加投資を計画している。またWaltDisneyもこの11月に始まったOTTサービス”Disney+“に対して、来年9月までに、10億ドル(約1100億円)を投入することを決めている。
NetflixやAmazon Prime Videoなど、先行する有料契約料を基本としたOTTプラットフォームと異なり、”Peacock”は広告付きのストリーミング・サービスとしてスタートする予定で、Comcastのpay-TVやブロードバンド契約者は無料で視聴できる。
”Peacock”の全貌は来年1月16日に投資家に対して明らかにされる予定だが、さまざまな有料契約バージョンも考えているようで、5年後には損益分岐に達する収支予想を立てている。一方、Disney+も5年後の2024年には黒字を見込んでいる。
Comcastがストリーミング・サービスに乗り出す背景には、深刻なコードカッティングの増加による視聴者の減少があげられる。2019年だけでも年初から58万3000件のコードカットがあり、昨年の37万件と合わせると、この2年間でほぼ100万件のpay-TV契約者が逃げて行ったことになる。しかし、Comcastでは、2年前から携帯電話専用Xfinityを始めており、その契約者は2019年9月末で180万人に達している。
今回の”Peacock”の立ち上げも、テレビからOTTへ、という視聴形態の変化を取り込み、NBCやUniversal映画など、豊富なコンテンツライブラリーをマネタイズしていくための積極的な経営戦略といえるだろう。