VicomCBS株、年初から65%下落

 

 新型コロナウィルスのニューヨーク市の感染者数は3月27日現在、2万1393人となり、2万人を超えた。ここ5日ほどは、毎日新しい感染者数がほぼ3千人を数える勢いだ。

NYCの感染者数の増加
NYCの感染者数の増加

 

ニューヨークでは外出禁止令が出され、テレビ各局も朝のニュースショーなどは、キャスターが自宅から出演する番組も増えていて、夜のトーク番組では、番組の打ち切りや再放送に切り替える局も出てきている。テレビ、新聞、ラジオなどの報道機関は外出については許可されているものの、感染を防ぐためにテレワークが徹底されているためだ(このリポートも自宅から書いています)。

自宅に閉じこもる他ないため、動画サービスの視聴数は3月に入ってから大幅に伸び、1月末に比べて25%増となっている。映画や劇場の封鎖がいつまで続くか見通せないなか、動画配信各社は、プレミアム作品を増やしたり、無料お試し期間を設けたりと、ビジネスチャンスをうかがっている。

OTT視聴の伸び
OTT視聴の伸び

 

 そんななか、去年12月4日に合併したばかりのViacomCBSが株価を大きく下げ、持株会社National Amusement Inc.がキャッシュ・フローの確保に窮する事態を招いている。National Amusement Inc.は全米で映画館チェーンを展開する企業だが、傘下にViacomCBSを保有する大手メディア企業として君臨している。しかしながら、ViacomCBSの株価の低迷で、信用力の低下を招く事態となっている。

 下の図はDisneyとDiscovery、ViacomCBSの今年に入ってからの株価の推移だが、実はViacomCBSの株価は新型コロナウィルスが世界的に広がる前から値を下げていた。合併は老舗映画スタジオParamaoutを抱えるViacomと視聴率の雄でMTV、Comedy Centralを保有するCBSネットワークの相乗効果を狙ったものだったが、Streamingを含めた合併後の次世代戦略が不透明なことなどが、株主の不信感をつのらせたためで、そこにコロナウィルスが追い打ちをかけ、年初からの下落率は65%にも及んでいる。

 

 去年8月には300億ドル(約3兆3000億円)だった企業価値は年末には153億ドル(約1兆6800億円)に縮小し、3月26日現在では89億ドル(約9800億円)にまでシュリンクしている。

 新型コロナウィルスの終息が見えない中、去年9億ドル(約990億円)を売り上げたNCAA(全米大学体育協会)のドル箱バスケットボール・トーナメントも中止になり、パラマウントの映画産業も劇場の閉鎖に追い込まれて新作のリリースのめどが立たない中、ViacomCBSとNational Amusement Inc.は新たな戦略の構築が急がれている。