“eMarketer”のリサーチによると、米国のテレビ広告費は2018年の724億ドル(約7兆9600億円)をピークとして、今後は減少に向かうという。
2019年のネットワークとローカル局、ケーブルテレビ局を合わせた広告費(デジタルを除く)予想は、前年比2.9%減となった。2020年には大統領選挙と東京五輪で1%ほど持ち直すものの、長期的には微減が続くと予想している。
また、今年の広告費全体に占めるテレビ広告費の割合が、調査を始めて以降初めて、30%を割り込むことが明らかになった。”eMarketer”は、2022年にはテレビ広告の割合は全体の4分の1に下がるだろうと見ている。
テレビ広告費の減少は、PayTVを含めたテレビ契約世帯数の減少と、視聴時間の減少が主な原因だとしている。”eMarketer”によれば、2019年の平均テレビ視聴時間は前年から3%減少して3時間40分となり、「すべての年齢層で視聴時間は減少しているが、17歳以下の減少が大きい」と伝えている。
“eMarketer”では、現在8650万世帯のPayTV契約者が、2023年には約16%減少して7270万世帯まで減少すると見ている。
一方、2019年のネット接続スマートテレビでの広告費は、69億ドル(約7590億円)で、米国の広告費全体の3%近くを占めることがわかった。2023年には141億ドル(約1兆5400億円)を超え、全体比では5%になると見られている。
またスマートフォン、タブレットの2019年の広告費は992億ドル(約10兆9000億円)で、すでにテレビ広告費の約1.37倍となっているが、2023年には、1660億ドル(約18兆2600億円)と、従来型テレビ広告費688億ドルの約2.4倍になると予想している。
米国のネットワークテレビやローカル局が、地上波やPayTVの枠を早々に脱し、自前のOTTや他社のプラットフォームを含め、スマートフォンを始めとして、あらゆるデバイスに自分たちのコンテンツを届けていく積極的な戦略を取っているのは、こうした広告市場の激変に対応し、微減が明白なテレビ広告費を補って、次世代のメディアマーケット戦略を狙うためだ。