Standard Media Indexによれば、ローカル局を除いた3月の全米ネットワークTVの広告収入は、前年同月日でマイナス12.8%の38億ドル(約4180億円)となり、2020年第1四半期では5.4%マイナスの108億ドル(約1兆1880億円)となったことがわかった。新型コロナウイルスによって多くのキャンセルが発生したことが主な原因だ。
ことにNCAA(全米大学体育協会)の男子バスケットボールトーナメントはCBSとTurner系列ケーブルTVに6億4800万ドル(約712億円)が見込まれていたが、大会中止となったことによって、CBSの3月の売上は48%減の2億8360万ドル(約311億円)となった。
NBCも7.6%減の3億1780万ドル(約348億円)となったが、ネットワークでは売上トップとなった
全局がマイナスというわけではなく、ABCとFoxは前年同月比アップで、ABCは2.6%増の2億7140万ドル(約298億円)、Foxは3.7%増の1億1240万ドル(約123億円)となった。
ケーブルTVでは、ESPNがドル箱のプロバスケットボールNBAの試合中継がなかったにもかかわらず、2.7%増の1億6600万ドル(約182億円)となり、ケーブルTVの中ではトップだった。
しかし、NCAAの男子バスケット中継を予定していたTurner系のケーブルチャンネルTNTとTBSは大きなマイナスで、TBSが29%減の9250万ドル(約101億円)、TNTが29%減の9700万ドル(約106億円)となった。
同じくTurner系ではトランプ大統領の天敵ともいえるCNNが広告売上を前年同月比18.7%伸ばし、7200万ドル(約79億円)とした。CNNは新型コロナウイルスの報道で他のネットワークをうわまわる高い視聴率を上げたことが貢献したようだ。
ニュース系ケーブルTVでは他に、トランプ政権の宣伝機関とも言えるFox News が4.8%増の7800万ドル(約85億円)、CNN以上に厳しいトランプ批判を繰り広げるMSNBCは4.3%減の3660万ドル(約40億円)となった。
全体を見ると、地上波ネットワークTVが4%マイナスの42億4000万ドル(約4660億円)、ケーブルTVも7.3%マイナスの61億6000万ドル(約6770億円)となっている
やはり、3月では第1週を除く3週間の落ち込みが大きく、第1四半期全体を見ると、CBSのみがプラスとなっている。
一方、動画配信プラットフォームは、Stay-at-homeによって全米で契約件数を伸ばしているが、Hub Entertainment Researchのリサーチによれば、最低ひとつは動画サービスの契約している世帯は、去年4月には72%だったのが、今年は78%に増えていることが明らかになった。増加の理由としては新型コロナウイルスのほかに、去年11月にDisney+がサービスを開始したことも大きいようだ。
それぞれのフラットフォームで見ていくと、Netflixは全米世帯の63%が契約しており、以下Amazon Prime 42%、Hulu 28%、Disney+ 31%、Apple+ 6%となっている。
また、子供を持つStay-at-home世帯は平均で7.5のサービスに入っていることがわかった。同じくStay-at-homeでも子供のいない世帯は平均5.3であることから、動画配信が子供用に重宝されていることがわかる。