新旧ストリーミングの激しい戦い

 

 4月13日の週の全米のストリーミング視聴時間は1546億分で、これは1年前の同時期のほぼ2倍になるという。Netflixは1-3月期で全世界の有料契約者を1570万件増やした。

 広告業界誌”Adweek”は、ストリーミング業界の「新旧の戦い」を伝えている。大手の総合ストリーミング・プラットフォームの一覧を下記に掲げておこう。

 

 Netflix、Hulu、CBS All Access、Amazon Prime Videoは、すでに「旧プラットフォーム」に分類されている。

 

 去年11月にDisney+をスタートさせたボブ・アイガー会長は「ストリーミングは私の15年の在任中、もっとも重要な試みだった」と語っているが、新型コロナウイルスで映画とテーマパークが全面的にロックダウンの影響を受けている中、ABCネットワークとDisney+がDisneyを支えているといっても過言ではない。

 

 新旧のストリーミング・プラットフォームが狙うのは、より多くのコンシューマーに、もっとも完璧でアピールできるサービスを作り上げることだ。Huluのオリジナル作品担当副社長は「これはとんでもなく難しいビジネスだ。コンテンツだけではなく、われわれはデータ、分析、テクノロジー、サービス、支払い方法までマスターしなければならないからだ」と語っている。

 

 

 新旧のストリーミングが注力しているのが、ライブラリーの拡充とオリジナル作品の充実だ。HuluはFox、Disney、Comcastといった資本系列のTV局からOA翌日の配信権を保持して拡充させてきたが、去年サービスを開始したApple TV+や携帯専門のストリーミングサービスQuibiなどは、「アクセス可能なすべてのジャンルのコンテンツを買いまくった」という。この点ではスタジオとTVをバックに持つプラットフォームが有利だ。しかし、あくまでもコンテンツだけではなく、データとアルゴリズムによって、的確なコンテンツをコンシューマーに提供し続けることが重要だという。

 そのため、複数年の「コンテンツ囲い込み」が盛んで、TimeWarnerのHBO Maxはsitcom(シチュエーション・コメディ)”Friends”の5年間の配信権を4億ドル(約440億円)で買い取り、NBCUniversalのPeacockも2021年に始まる”The Office”の5年間の権利をすでに5億ドル(約550億円)で購入している。

 

 オリジナル作品については、Nielsenの調査によれば3人に1人は、「オリジナル・コンテンツ次第でサービスを選ぶ」とされていて、Apple TV+はスタート時に60億ドル(約6600億円)をオリジナル作品に投じたし、Netflixは今年度170億ドル(約1兆8700億円)を制作費に計上している。

  さらに、Nielsenによれば、81%のコンシューマーが「コンテンツへのアクセスが容易なこと」をサービスの重要な要素にあげている。自分が見たいコンテンツを探すのに平均で7.4分をかけるという中で、各サービスは、コンシューマーにコンテンツがすぐに届くアルゴリズムの開発にしのぎを削っている。

ことにAVOD(広告付きの無料サービス)ではマッチングのアルゴリズムは重要視されている。もし、コンシューマーがせっかくアクセスしても、スクロールして見たいものが何も見つからなかったら、作品に付いたCMを見てくれないことになるからだ。

 Huluのコンテンツ・マーケッティング担当のクロスビー副社長は、新旧のストリーミング・サービスに共通する目標についてこう言っている。「われわれのゴールは、ある特定の番組や、あるひとつのコンテンツがヒットすることではなく、しかるべき人びとの前に、しかるべきコンテンツを提示することなのだ」。

 

 AVODではCMの置き方が大きな課題となっていて、アナリストは「1時間の作品に14分、16分、18分もコマーシャルを置くわけにはいかない。誰も見なくなるだろう」と分析している。

 巨額の資本を投じて制作するオリジナル作品にせよ、必死でラインアップをそろえるライブラリー作品にせよ、新旧のストリーミング・サービスの今後を左右するのは、コンテンツの質の高さと、「しかるべき人びとの前にしかるべきコンテンツを提示する」ための的確なマーケティングと精緻なアルゴリズムだと見られている。