06年米広告費が4.1%増と堅調


米有力調査会社TNSメディア・インテリジェンス(TNSMI)はこのほど、2006年の米広告費が前年比4.1%増の1,496億㌦17兆9,520億円)を記録し、「堅調な伸びを示した」と発表した。ただ、同年に開催されたトリノ冬季五輪と米中間選挙効果が大きく、両イベントを差し引くと伸びは前年比2.6%増となる。TNSMIの社長兼最高経営責任者であるスティーブ・フレディレック氏は、「近い将来、広告費の動きに大きな変化の兆しは見られず、今後もゆるやかな伸びに留まる傾向が続くだろう」と分析している。

広告支出鈍化の大きな要因の一つになっているのが、自動車業界の予算削減。同業界による昨年の削減額は10億㌦(約1,200億円)以上にも達した模様だ。特に国内向けが顕著で、ゼネラル・モーターズ社(GM)の広告費は前年比23.7%カットとなる23億㌦(約2,760億円)だった。

一方、オートメーカーの減額傾向に対し、増額傾向を示しているのが通信社と製薬会社。特にシンギュラー社との統合を終えたばかりのAT&Tが大幅な広告予算を計上しており、同社に引っ張られる形で通信社関連の広告予算は「少なくとも07年上半期は上昇カーブを描く」(TNSMI)ことになりそうだ。

一般的に広告主の予算配布が、あくまで費用対効果を追求する合理主義で進められる傾向が強まっており、従来型メディアからインターネットへのシフトが鮮明に現れている。中でも最も大きな犠牲を払っているのが新聞業界。同媒体が広告費全体に占める割合は、前年19.9%だったものが、06年は18.7%に落ち込んでいる。

一方、インターネットのほうは、逆に前年の5.8%から06年は6.5%と増大している。インターネットへの広告費は前年比17.3%増、97億6,000万㌦(約1兆1,700万円)だった。 ちなみに、ネットワークテレビに割り当てられた広告費は、前年比2.5%増、228億㌦(約2兆7,360億円)と低調だった。しかも、このうち4~5億㌦(約480~600億円)はトリノ五輪によるもの。一方、ケーブル局のほうは、前年比3.4%増167億㌦(約2兆円)と成長率ではネットワークを上回っている。