08年広告費、五輪・選挙で一定の伸び


米メディア界で広告市場の年間成長率予測の権威として知られるアナリスト、ロバート・コーエン氏(米広告代理店大手ユニバーサル・マッキャン社)が2008年の総広告費の推定値を発表した。ニューヨークで開かれた投資銀行大手UBS主催の会議に出席したコーエン氏は、「米経済は曇り勝ち。先行きが不透明な状況だ」としながらも、来年は北京五輪や大統領選挙が行われることを挙げ、総広告費は3.7%の伸びを示し2,944億㌦(約32億3,840億円)に達するとの見通しを明らかにした。

また、カナダのメディア調査会社「BMOキャピタル・マーケッツ」の上級アナリスト、リー・ウエスタフィールド氏は、「4大媒体の中で、新聞・ラジオ・雑誌業界ではすでにリセッション入りしているとの認識が高まっている」との見方を示しながらも、「五輪・大統領選効果についてはコーエン氏に賛同」、08年の広告費は3.6%の伸びを示すとしている。

ところで両者は、07年の広告費をたびたび下方修正してきている。最終的にはウエストフィールド氏が06年度比2.6%増、コーエン氏はわずか0.7%の増加に留まると推定しているが、こうした不振ぶりが目立った07年に比べれば08年は若干希望が持てる年になりそうだ。

そして、両者の予測の中で、異論のないのがインターネットの躍進ぶり。コーエン氏によると、今年に続き媒体の中で一番の伸び率を示すのがインターネット。来年の広告費は16.5%の伸びを見せるという。

ところで、五輪効果については、CBSネットワークのマーケットリサーチ部門担当責任者、ディビッド・ポルトラック氏が、「五輪のおかげでCM枠が供給不足状態になり、ネットワーク全体にとって好機が生まれる年になるはずだ」と期待感をにじませている。ちなみに、北京五輪の独占放送権はNBCネットワークが握っている