10年の米ネット広告、5.5%増に回復


2009年の米広告支出は景気低迷を背景に、「過去数十年で最大」(広告会社ゼニス・オプティメディア)の減少率を記録した。他媒体を尻目に破竹の勢いを示していたインターネットも2001年以来初めてとなるマイナス成長を記録した。しかし、10年におけるインターネット広告支出は他媒体より一足先に力強いカムバックぶりを示すという。


既存メディアからインターネットへの鞍替えを進める広告主が後を絶たないためで、オンライン調査会社「eMarketer」によれば、09年は前年比4.6%減少となる224億㌦に留まったインターネット広告費は、10年には5.5%増となる236億㌦となる見込みだ。米調査会社「Round2」の調べでは、広告主の72%が、「10年は前年以上の広告予算をインターネット向けに振り向ける」と答えたという。


不況下、広告予算の削減を余儀なくさせられている企業が、廉価にもかかわらず、消費者への到達率が高いインターネットを広告の出稿先として選ぶ傾向が高まっている模様だ。さらに、消費者のインターネット利用方法に変化が出てきていることも広告主にとっては重要な要素だ。人々はもはやインターネットを、情報を求める手段としてではなく、エンタテイメントの手段として利用するなど、使用用途が多様的になってきており、様々な企業にとって広告出稿がしやすくなっている。


また、動画配信の普及も重要な要素。テレビ番組配信などに挿入される動画CMは、“投資利益率(ROI)”が高いという認識が広告業界で広まっている。米調査会社ニールセンによれば、09年11月におけるインターネット利用者の動画視聴時間は200分にまで拡大した。


ちなみに、eMarketerでは、11年のネット広告費は、前年比6.8%増の252億㌦。以下、12年は283億㌦(同12.3%増)、13年は310億㌦(同9.5%増)、そして14年は340億㌦(同9.7%増)と向こう5年間の予想を示している。