10年世界広告市場は回復基調に


未曾有の不況に見舞われた広告市場に回復の兆しが見えてきた。広告市場の予測で権威のある3社によれば、2010年における世界の広告市場は、最悪だった09年に比べ緩やかな回復基調に転じる見通しだ。米国や西欧諸国では足踏み状態が続く一方で、中国やインドなどを含む新興諸国が牽引役を果たしていくという。金融グループ大手UBSがこのほどニューヨークで開催した会議で明らかにされた。


10年の広告売上は、世界的な広告会社「WWPグループ」傘下の代理店「グループM」が09年比0.8%増。広告会社「ピュブリシス・グループ」傘下の「ゼニス・オプティメディア」は同0.9%増となる4477億㌦に拡大。広告代理店大手「インターパブリック」傘下の調査会社「マグナ」は、同5.9%増3800億㌦と予測している。


ゼニス・オプティメディア社は、2009年の広告売上状況について「比類のない年だった」とした上で、「(広告市場の)崩壊の速度が和らいできたようだ」と分析している。ゼニスでは、「回復基調が堅調に推移し始めている」とし、2011年には前年比3.9%増、2012年には同4.8%の増加を予測。「2007~08年レベルにもどるのは12年になる」との見通しを披露した。


ちなみに、09年の売上については、グループMが08年比6.6%減、ゼニスが同10.2%減、マグナが15%減と、それぞれ最終推定値を発表した。


ゼニスでは10年広告費の増減を媒体別で分析しているが、インターネットが09年比11.6%増、テレビが2%増、屋外広告が2.1%増などとプラスに転じるのに対し、雑誌4.5%減、新聞4.1%減、ラジオ1.5%減と見込んでいる。


一方、10年米広告市場の回復ぶりについては、マグナ社が09年比0.2%増となる1627億㌦規模となることを予測しているが、ゼニスは2.6%減となる1440億㌦と、いずれも世界水準を下回るとの見通しを示した。