2010年北米広告費が6.1%減少へ


世界的な広告会社「WWPグループ」傘下の代理店「グループM」はこのほど、北米における2010年の総広告費が6.1%減少、総額1510億㌦(約14兆3450億円)になるとの厳しい見通しを発表した。2008年以来3年連続の減少が続くことになるという。金融危機に端を発した不況経済下にある2009年の広告費は前年比4.2%減となる1600億㌦、08年の広告費は前年比2%減となる1670億㌦だった。


同社で最高投資責任者を務めるリノ・スキャンゾニ氏によれば、地方向けメディアの広告市場の低迷は今年中には底を打つが、全国向け市場はさらに縮小する見込みだ。特にネットワークテレビへの広告支出が減少カーブを描き続けることになるという。スキャンゾニ氏は、米消費者の節約志向に変化が現れない限り、こうした傾向は変わらないと見ている。


同調査は世界70ヶ国の市場を分析したが、世界全体の広告費は減少幅が1.4%に留まる4110億㌦(約39兆450億円)と、若干明るい見通しだ。米国を含む先進7ヶ国(G7)が低迷を続ける一方で、ブラジル、ロシア、インド、中国の4ヶ国の広告費は回復基調に転ずるという。スキャンゾニ氏によれば、中国は、経済刺激策のおかげで、広告市場が自信を取り戻し始めているほか、原油価格が1バレル70ドル台で推移すれば、ロシアの広告市場も急速に回復するはずだという。


アジア太平洋地域の広告市場も回復する見込みで、グループMでは同地域の2010年総広告費は、今年、3.2%増加となる1170億㌦(約11兆1150億円)規模に達する見込みだ。

なお、産業別の広告支出を見ると、相変わらず自動車と金融業界が低迷するが、リセッション時につよい、食品や日常品などパッケージ商品(包装された商品)向けの広告費は堅調に推移するという。