2011年はモバイル元年に?


米 国の地上波デジタルテレビ放送の余剰帯域を利用した携帯端末向け の番組配信サービス(以下、モバイルDTV)がようやく立ち上がりそうな気配だ。NBCネットワークとFoxネットワークがモバイルDTV普及促進を目的 に設立した組織「モバイル・コンテンツ・ベンチャー(MCV)」が昨年暮れ、2011年末までに、全米各地でモバイルDTVを展開すると発表したからだ。 モバイルDTV放送には、両ネットワークの直営局をはじめ、Cox社やガネット社などのメディア企業傘下のローカル局も参加することになっており、ニュー ヨーク、ロサンゼルス、シカゴなどを含む米国のトップ10テレビ市場を含む20ヵ所で展開。全米テレビ世帯の40%に相当するエリアがカバーされることに なる。


MCV担当者は、「今回の発表がきっかけとなり、様々なテレビ放送事業者、コンテンツ・プロバイダー、携帯端末メーカー、ひいては米消費者の間でモバイル DTVへの関心が高まることを期待している」と述べている。モバイルDTVが本格的に普及すれば、各ローカル局にとって貴重な放送外収入になると期待され ているだけに、関係者の間には、「ようやく船出にこぎ付けた」などと安堵感が漂っている模様だ。


MCV関係者によれば、同サービスは当面課金せず、広告収入で運営をしていく方針。配信内容は、まだ未定だが、日本のワンセグ放送初期と同様、放送されて いる番組を同時に流すサイマル放送になる可能性が強いようだ。しかし、NFL(米プロフットボール・リーグ)主催の試合中継番組など、特定コンテンツ・プ ロバイダーからの配信許可を得ることが難航することも予想され、全体像は不透明な状況だ。


米国にはMCVのほかに、小規模なローカル局400社でつくるモバイルDTV配信組織「Mobile500 Alliance(モバイル500アライアンス)」があり、両者は協力関係を強化していく考え。両者がフル稼働すれば、米全土でモバイルDTV受信が可能 になるはずだ。こんな動きを受けて、韓国のLGエレクトロニクスは昨年暮れ、モバイルDTV受信端末兼携帯DVDプレーヤー「DP570MHモデル」(写 真)を発売。米国で初のモバイルDTV専用端末の登場となった。LGによれば、同端末は、車の後部座席に座った子供や台所のカウンターなどでのテレビ番組 視聴に最適のものだという。