3Dテレビ放送に8割が悲観的


米国では3D(3次元)テレビの普及に悲観的な見方が多いが、地上波テレビ放送事業 者の間であきらめムードが漂っていることが明らかになった。米4大ネットワークテレビ(ABC、CBS、Fox、NBC)と公共放送(PBS)の放送技術 者らが集う会合(HPA)がこのほどカリフォルニア州のランチョ・ミラージュで開催されたが、「お茶の間向けの3Dテレビ放送はすでに終焉したと考える か」との質問に、出席者(訳400名)の8割にも及ぶ放送エンジニアが、「YES」と答えたという。


Foxネットワークの技術担当者ジム・デフィリップス氏は業界誌「テレビ・テクノロジー」の取材に、「我々に与えられている帯域では3D放送するのは無理 だ」と説明している。デフィリップス氏によれば、技術的には可能なものの、連邦政府から各局に与えられている6メガヘルツの帯域で、従来の放送(2D:二 次元映像)に加え3D映像を合わせて放送するとなれば、画質などに致命的な犠牲を強いることになるという。


また、米消費者からの関心の低さも指摘されている。ハリウッド・レポーター誌は、3Dテレビが発表された直後は消費者から一定の関心が集まったが、実際に 画像を見たあとの感想は否定的なものに変わったとする調査結果(ニールセン社)を紹介している。また、3Dテレビで見たい番組が不足しているほか、専用メ ガネを着用しなければならないわずらわしさやコストの問題も指摘されている。「3D映画は見たいが、テレビで3D映像を見たいとは思わない」などとする意 見も少なくなく、テレビが3D映像に最適な媒体かどうか疑問を投げかける意見も上がっている。一方、家庭内で3D映像が最適なのはビデオ・ゲーム機器だと の意見がもっぱらだ。