3Dテレビ販売台数が全体の半数に


 次世代テレビとして期待が寄せられている3D(3次元立体)テレビの普及に明るい兆しが見えてきた。米市場調査会社「iSuppli(アイサプライ)」はこのほど、米国内における3Dテレビの全テレビ販売に占める割合が、向こう5年間に約半数までに達するという予測を発表した。別の調査会社「フランク・マギッド・アソシエーツ」が実施した調査では、消費者の25%が1年以内に3Dテレビを購入する予定だと答え、18~24歳層では、40%が購入したいと答えており、若者層の3D人気が高いことも分かった。同調査ではまた、三分の一の消費者が「3D映画を見たことがある」と答えており、3Dテクノロジーに対する認知度が高いことを指摘している。また、アイサプライでテレビ市場分析を担当するリディー・パテル氏によれば、現在すでに3Dテレビを購入した人の83%が、自らを“新製品好きのマニア”と答えたほか、半数以上が年収10万㌦以上の高額所得者であることも明らかになった。


さて、3Dテレビ普及の前に立ちはだかるのが、価格とコンテンツ(番組)などの問題。ニューヨーク・タイムズ紙は、3D番組が決定的に不足している状況を克服しなければならないことを指摘しながら、コストの問題に焦点を当てている。同紙は、ある家電量販店で約2300㌦(約19万5500円)の値段がついたパナソニック製の50インチ3Dテレビを前にした若者男性を取材し、「映像には興味があるものの、この価格ではとても購入する気にはならない」との声を紹介。さらに3D映像視聴のための専用メガネの実勢価格が150㌦(約1万2750円)もすることから、家族全員に揃えようとすれば数百㌦の追加予算が必要などと指摘。これらの価格が大幅に低下しない限り、“新製品マニア”以外の普及につなげることは難しいとの見方を示している。


アイサプライのパテル氏によれば、米国内で販売されている3Dテレビの価格は通常の薄型HDテレビに比べ平均1200㌦(約10万2000円)ほど上回っている。しかし、同氏は、2014年までに差額は325㌦(約2万7625円)までに縮まると見込んでいる。


ちなみに、米国のテレビ世帯の約三分の二がブラウン管受像機から薄型テレビへの買い替えが終了している模様。現時点での3Dテレビ普及率は、2.5%に留まっている。