ABCアンカーが予想外の活躍


米ABCネットワークの夕方ニュースのキャスター、チャールズ・ギブソン氏(64)の意外な活躍ぶりが今、業界の話題をさらっている。3大ネットワークの夕方のニュースにおける視聴率競争では、ここ数年NBCの「NBC Nightly News With Brian Williams」が常にトップの座を守ってきた。しかし、今シーズンは1月以降、ギブソン氏の「World News With Charles Gibson」がトップの座を奪っている。ニールセン社によると、World News の今年1月以降の平均視聴者数は毎晩888万人。Nightly Newsの平均視聴者数を56,000人上回る健闘ぶりだ。

5月17日付けのニューヨークタイムズ紙が、ギブソン氏を扱った特集記事を掲載したが、成功の秘訣を聞かれたギブソン氏は、「明確な答えは見当たりません」と控えめ。ただ、キャスターに求められる重要な要素として「安定感」を挙げ、自らがこの要素を備えていることを示唆している。また、同番組が数々の事件のスクープ恵まれたことや、昨秋の中間選挙報道体制が他局より厚かった点などが高視聴率につながっていると分析している。

World Newsは20年以上に渡りアンカーを務めたピーター・ジェニングス氏が一昨年肺ガンで死去。その後、男女二人のキャスター制が組まれたが、男性キャスターがイラク取材中瀕死の重傷を負うなどのハプニングを受け解消。十数年にわたり朝の情報番組を担当していたギブソン氏が同ネットワーク報道部門の救世主としてキャスター席についた。

一方、万年最下位に悩むCBSは昨年9月、ライバルNBCネットワークから人気キャスター、ケイティー・クーリック氏を推定年俸1,500万㌦(約18億円)でスカウトし挽回を狙ったものの、かえって視聴率が下がってしまっている。 米3大ネットワークテレビのブランド名を背負う全国向け夕方ニュース番組は、米市民が報道機関の中で最も信頼を寄せるメディアとも言われ、各社が威信をかけ制作にあたることもあり社会的ステータスが高い番組だ。