ABCニュース、10年ぶりの視聴率王


「女性初のメイン・キャスター誕生」「年俸1,500万㌦の切り札」。昨年9月、CBSネットワーク全国向け夕方ニュースのメイン・キャスターに鳴り物入りで登場したケイティー・クォーリックさんを紹介した新聞見出しの一部だ。米3大ネットワーク中、万年最下位に甘んじていたCBSが、ライバル・ネットワークNBCの情報番組「トゥデー」の人気キャスターだったクォーリックさんをスカウト、首位奪還を狙った布陣で、同月から始まった米テレビ界新シーズンの話題を独占した。そして、半年たった今、「CBS Evening News with Katie Couric」は3位に低迷したまま。

逆に予想外の健闘をしているのがABCネットワークのベテラン・キャスター、チャールズ・ギブソンさん(写真)を起用した「ABC World News」だ。2月は米テレビ局にとって重要な視聴率特別調査月間「スイープ」だったが、ワールドニュースは、世帯視聴率はもとより米報道番組がターゲットにしている25~54歳層でも王者NBCを押さえトップの座を獲得した。

ワールドニュースがこれまで両カテゴリーでトップにたったことがあるのは1996年11月。今回実に10年ぶりの快挙となった。ABCの2月平均視聴者数は967万7千人、25~54歳層の視聴率は2.6%。これにNBCが956万6千人、同2.4%と続き、最下位のCBSは視聴者数は758万6千人、同視聴者層2.1%だった。

報道番組に詳しいアナリスト、アンドリュー・ティンドル氏は、「NBCはワシントンの出来事を主体に伝えるハード・ニュース型。それに比べABCは、家族や女性が関心あるネタを伝える編成で、その違いが視聴者に受け入れられたのではないか」(ブロードキャスト&ケーブル誌)とワールドニュース成功の背景を説明している。