ABCニュースの看板番組に女性キャスター


米3大ネットワークテレビの一つ、ABCの夜の看板ニュース番組『ワールド・ニュース』のメイン・キャスターに、2010年1月から人気女性キャスターが就任することになった。有力紙ニューヨーク・タイムズ紙はトップ面で大きく取り上げ、他社テレビ局も一斉に報じた。

現在、『ワールド・ニュース』のキャスターを務めているチャールズ・ギブソン氏(66歳)が、今年いっぱいで降板したいとの意向を突然表明。ABCはそれを受け、急きょ朝の看板情報番組『グッド・モーニング・アメリカ(GMA)』のメイン・キャスターを務める人気キャスター、ダイアン・ソーヤー氏(63歳)の起用を決定した。

ソーヤー氏が起用されることで、3大ネットワークのアンカーは、CBSのケイティー・クォーリック氏とともに女性が仕切ることになる。一人制では米テレビ史上初めてのことだ。

現在の3大ネットワークの勢力図を見ると、NBCが常に視聴率トップの座に就いている。これをABCが小差で追い、大きく差をつけられているCBSが万年3位という構図。ABCは、女性アンカーでNBCに挑戦状をたたきつけることになるが、業界には「女性アンカーが話題を呼ぶ時代は、既に過ぎ去った」とする声が大半だ。

ABCにとって稼ぎ頭的存在の『GMA』が、ソーヤー氏がいなくなった後、どれだけ健闘できるかは不透明。ギブソン氏の降板に、ABCのニュース番組全体が動揺を隠せない様子だ。

3大ネットワークの夜のニュースは、社会に大きな影響力を持つ重要な番組。アンカーと呼ばれる各局のキャスターは、大統領などと並び、市民にとって最も尊敬する人の一人に挙げられているほどだ。ただし、近年は、ニュース専門局やインターネットに押され気味。10年ほど前の3大ネットワークの合計視聴者数(夜のニュース番組)は3000万人だったが、現在2000万人ほどに減っている。