CATVなどが成人向け番組の配信増加

米ケーブルテレビ(CATV)や衛星放送事業者の間で成人向け番組の配信を増やす傾向が目立ち始めている。狙いは新たな収入源。不況で利用者の加入離れが加速しているほか、ベライゾン社のFiOS(ファイオス)のように、電話会社によるIP(インターネット・プロトコール)方式を使った番組配信サービスが浸透し始め、経営が苦しくなり始めているためだ。


背に腹はかえられぬ、といったところだが、これまで成人向けコンテンツの配信には極力控えめに当たってきた衛星最大手ディレクTVでは、同コンテンツ専門のオン・ディマンド・サービスを加えた。子供が視聴しない時間帯とされる午前2~6時に、番組宣伝も積極的に展開する予定だ。CATV最大手コムキャストも、地域を選びながら、成人向け番組の配信を検討している。


このような傾向について、カリフォルニア州バンナイス市の成人向け番組制作会社デジタル・プレーグランドの最高経営責任者、アリ・ジューン氏はアドバタイジング・エイジ誌に、「CATV事業者の頭の中にあるものは金。世の中の評判を気にする余裕はないようだ」「8年間続いた保守政権が終わったことで、(当局の取締りに対する)警戒心も薄れている」と説明している。

ところで、インターネット上の動画配信の普及で、CATVや衛星放送が成人向け番組配信の価格は以前に比べかなり低めに設定する必要も出てきたようだ。そうなれば、利益率も低下し、せっかくの新サービスも思惑がはずれてしまう可能性もある。米メディア調査会社ケーガン・リサーチは2007年当時、アダルト・ビデオ産業が2014年までに14億㌦(約1400億円)規模にまで成長すると見ていた。