CBSがFCCに対し罰金払い戻しを要求

2004年2月に開催されたスーパーボウルのハーフタイム・ショーで歌手ジャネット・ジャクソンさんの右胸が露出するハプニングが放送された件で、番組を放送したCBSがFCC(米連邦通信委員会)を相手どって訴訟を起こしている。FCCはわいせつ映像を放送したとして、CBSの直営局20局に1局あたり27,500㌦(約3,160万円)の支払いを命じたが、総額が55万㌦(約6,325万円)となり、米テレビで放送された番組への罰金としては過去最高額となった。

CBS側は9月11日、米連邦控訴裁判所で裁判官に対し、「ハーフタイム・ショーの準備には1年以上にわたる入念な準備を行い、当日は放送に不適切な言葉などがオンエアされないよう、音声をリアルタイムから数秒遅らせ放送する技術を採用するなど、予防措置をとっていた。問題のシーンについてはジャクソン氏から事前に知らされていなかった」などと弁明、問題のシーンがネットワーク側の意図したものではないことを強調、罰金を課されたのは不当で全額を払い戻すべきだと訴えた。

これに対しFCC側は、「CBSが事前に知っていたかどうかは問題ではない。沢山の子供たちが視聴することが予想されており、認可を受けている放送事業者たるもの、いかなる可能性にも備え放送に望むべきだった」と主張、CBS側がトラブルを未然に防ぐ義務を怠ったと監督責任の欠如を指摘した。FCCは音声とならび、映像も数秒遅れで放送できる技術があるにもかかわらず、CBSが採用しなかったことも問題視した。

米国では同ケース以降、当局のわいせつ画像取締りが強化されており、テレビ局側も神経を尖らせているのが現状だ。ハリウッドの制作者の間では「表現の自由を奪う政府の検閲だ」などと抗議する声も上がっている。