CBSが雑誌に初の「ビデオ広告」挿入


9月中旬以降に始まる米テレビ界の新シーズンを控え、CBSネットワークが画期的な番組宣伝に打って出た。芸能ニュースなどを扱う週刊誌「エンタテイメント・ウィークリー」に、動画視聴ができるフラット画面を埋め込んだ見開き広告を挿入するというものだ。

読者は、CBSが今秋から放送する人気犯罪捜査ドラマのスピンオフ「NCIS:ロサンゼルス編」や、コメディー番組「Two and a Half Men(チャーリー・シーンのハーパー★ボーイズ:邦題)」などの予告編4本と同ビデオ広告を協賛するペプシコーラの動画CMを五つのボタンから選択して視聴できる。


このビデオ広告はロサンゼルスに本社を置く「Americhip Inc.」が開発したもの。画面の大きさは2インチで、画面下にスピーカーも内臓されている。画質はアップル社の携帯音楽・ビデオプレーヤー、アイポッドと同等。音質も良好で、周辺の人でも聞こえるほどの音量だが、調整はできない。


昨年暮れには、男性向け雑誌「エスクァイア」が内臓されたバッテリーでライトアップされる“デジタル表紙”を採用したが、雑誌におけるビデオ広告は今回が初めて。IT(情報技術)関連専門誌「Wired(ワイヤード)」は、今回の試みについて、「小さな一歩だが、メディア全体に大きな変化を及ぼす可能性を秘めている」と評価している。


同ビデオ広告のコストなどについては、CBS、エンタテイメント・ウィークリーとも一切ノーコメントの構え。業界内では相当高価と見られている。費用対効果を考えれば、すべての商品PRに導入することは難しいが、テレビや映画の新作宣伝などには最適とする声も聞かれる。

同ビデオ広告は、9月18日号に登場するが、今回はニューヨークとロサンゼルス市場向けの中から数千冊が選ばれ限定挿入される。経営困難に直面している雑誌業界にとっても新たな広告収入源につながる可能性もありそうだ。