CESで脚光を浴びた3Dテレビ


 米家電見本市、コンシューマー・エレクトロニクス・ショー(CES)が、1月7日からラスベガスで開催された。同会場で展示された新製品の中で、ひときわ人気を集めたのが立体映像が楽しめる3D(3次元)方式の薄型・大画面テレビ。CES開催に先駆けて公開された、3D映像技術を使ったSF大作映画「アバター」(ジェームズ・キャメロン監督)が、史上最速となる公開後17日間で、世界興収10億ドルを突破したことも3D人気の引き金となった。


ニューヨークタイムズ紙は、3Dテレビの普及について、「まず、高価格をいとわない、新製品マニアの高額所得者が購入を始め、価格の下落とともに中間層に浸透していくことになる。HDテレビの普及状況と同様なカーブを描くことになるが、本格的な普及までには相当の時間がかかるだろう。しかし、テレビ・メーカーやコンテンツ・メーカーが3Dテレビを追求するのは当然の流れだろう」などとする市場アナリストの声を集めている。 


一方、放送局のインフラが3D対応になっていないことから、「利用者は当面、すべてのコンテンツをDVD購入などに依存しなければならない。ただ、現在はコンテンツがほとんどない状況だ」(ロイター通信)などと、現時点では、3Dテレビが普及する環境が整っていないとする声も上がっている。 ちなみに、3D番組を放送するためには、HD放送に必要な帯域の2倍は必要で、放送事業者にとって放送に踏み切る際の障害になることも予想される。


また、「3D画像は2時間以上見ると目が疲れる」などと、健康上の問題を指摘する声もある。
米調査会社「ディスプレー・サーチ」によれば、2009年にはわずか20万台だった3D受像機の販売台数は、18年に6400万台に急増。関連製品を含めれば、同年までに170億㌦規模の市場に成長、家電商品の中でも最大の成長株になる可能性があるという。