CM抜きの30分番組に熱い視線


米テレビ界では9月にスタートする新シーズン(2007-08年シーズン)のCM予約販売が始まっているが、4大ネットワーク(ABC、CBS、Fox、NBC)を尻目にミニネットと呼ばれるThe CWネットワークの番組が広告主の間で話題を集めている。

ウォールストリート・ジャーナル紙など複数の報道によると、ニューヨークに本社を置く広告代理店「MediaVest」が、CWが秋から放送開始する新番組「CW Now」(米東部時間毎週日曜日19時)の全CM枠を、シーズンを通して買い取った。交渉が始まって一週間も経たないうちに商談がまとまったことになり異例の早さだが、CW側が打ち出した新戦略が功を奏したようだ。

同番組はエンターテイメント系の情報番組だが、30分間の番組中、いっさいCMが挿入されないことになった。毎回一社提供となるが、従来型のCMは放送せず、例えばスポンサーが販売に力を入れる製品について話題を取り上げるなどのフォーマットが採用される。商品が自然なかたちで番組に登場する「プロダクト・プレイスメント」方式も取り入れられる予定だ。番組内容についてはスポンサーが参画することはなく、局の独立性が保たれるという。

番組自体がCMになるという危惧も出ているが、CWの営業担当責任者ビル・モーニングスター氏は、「もし視聴者から番組全体がCMに見えるとの苦情が発せられたら、試みが失敗したと受け止めるつもりだ」と述べ、自信を示している。

このほか、同ネットワークでは、5秒CMを積極的に取り入れることになった。「5秒ならCMを飛ばそうとする人もいないはず」(同局関係者)と、HDD内蔵のレコーダー「DVR」利用者などによるCMスキップ視聴対策を強調している。

ちなみに、MediaVestが代理店となっている広告主には食品大手「クラフト」、小売店チェーン最大手「ウォルマート」、一般消費財メーカー「プロクター&ギャンブル」など大手企業が名を連ねている。