CM視聴率が創造性を誘導?


米テレビ界では新シーズン(9月から)の編成発表とCM予約販売期間をUpfront(アップフロント)と呼んでいる。毎年5月から始まるが、今年はニールセンが調査したCM視聴率が加味されることになっており、ネットワークと広告主の間で注目の的となっている(4月6日概報)。

広告主の中には、CM視聴率の結果が期待はずれの内容だったとしても、番組の視聴者数が減らなければ、CM撤退は考えない(広告代理店MediaVest USA)とする受け止め方もある。しかし、その一方で、調査の結果如何では提供する番組を変更したり、CM料金の改正を求める広告主が出てくる可能性もあり、同視聴率がテレビ業界にどのような影響を及ぼすか、関係者は固唾を呑んで見守ることになる。

ところで、そのCM視聴率の登場で、CM制作に革命が起こるとする意見が出ている。米広告代理店大手DDBのクリエイティブ部門責任者ボブ・スカペリ氏は、「CM視聴率によって、テレビからCMが消滅することはあり得ない。しかし、出来の悪いCMが淘汰されるのは間違いないのでは」(アドバタイジング・エイジ誌)と述べている。

スカペリ氏は、「本来CMは、番組と同様にエンターテイメント性に富み、視聴者が楽しんで視聴してくれる内容であるべきだ。飛ばし視聴されるCMは質が悪いからだ」と述べている。同氏によると、まもなく発表されるCM視聴率の結果によって、質の高いCMを求める機運が高まり、新たなビジネス・チャンスが生まれると期待するCM制作会社が少なくないという。

今年のUpfrontは5月7日から始まるが、CM視聴率の発表が5月下旬にずれ込むことが予想され、ネットワークと広告主との本格的な交渉はこの発表まで待ったがかかる可能性もある。