CM視聴率発表に備え番組調整


米ニールセン社が昨秋から始めたCM視聴率測定がすでに番組編成に影響を及ぼし始めている。本格的なデータが出揃うのは6月の予定だが、米テレビ史上初めてとなるCM視聴率の公表を前に、テレビ局は戦々恐々といったところ。すでに番組内のCM挿入時間を調整し始めたネットワーク番組が急増しているという。

米有力調査会社TNSメディア・インテリジェンス(TNSMI)がこのほど全米広告業協会(AAAA)の年次総会で発表した調査結果によると、1時間番組の中で放送されるCMの位置に大きな変化が起きている。例えば、番組の中で、最初に放送されるCMは全体の32%が5分以内に挿入されていたが、いまでは20%ほどに急減しているという。CMタイムを遅らせ、番組冒頭部分を出来るだけ長くすることが目的。番組により多くの視聴者をひきつけ、ひいてはCM視聴率にもつなげたいとの期待感からだ。

また、番組内最後のCMの位置も、番組終了手前ぎりぎりに挿入される例が多かったが、逆に前倒しにする番組が増えている。TNSMIによると1年前までは番組終了前8分以前にCMが挿入されていた番組が全体の28%に過ぎなかったのに比べ、いまでは32%に増えているという。最後のCMの後もたっぷり番組を楽しんでもらい、これまでは最後のCMに入ると同時に他のチャンネルにザッピングしていた視聴者を引き止めるのが狙いだ。

ただ、全体のCM出稿量が減るわけではなく、番組中盤のCMインターバルが短くなる弊害を指摘する声も出ていて、新しいCM挿入方法がどれほど視聴者にアピールするか疑問視する声もある。ちなみに、TNSMIによると1時間番組のコマーシャルタイムは平均5回。

今回の調査はABC、CBS、Fox、NBCの4大ネットワークのプライムタイム枠(米東部時間20:00-23:00)で放送されている番組が対象。2005年10月、2006年3月、2006年10月の3回、それぞれ2~3ヶ月間モニターされた。