CNBCがユニークなHD放送へ


米国では2009年2月に設定されている地上波テレビの完全デジタル化に向け、ようやくテレビ局の対応ぶりが目に見える形で出てきた。CNNテレビが9月中旬にHD専門チャンネル立ち上げを発表したばかりだが、今度は人気ビジネス専門チャンネル「CNBC」がHD化案を明らかにした。同局のHDチャンネルは、「CNBC HD+」と名づけられ、今秋に放送開始を目標にしている。当初は「CNN HD」同様、再送信は衛星放送最大手「ディレクTV」に限られるが、同社では「出来るだけ早い時期にケーブルテレビ(CATV)事業者にも再送信を呼びかけたい」としている。

ところで、「CNBC HD+」のHD放送は、「非伝統的でユニークなアプローチ」(CNBCの放送技術・オペレーション担当副社長、スティーブ・ファストック氏)になる模様。同局の担当者によると、16対9の画面にスタジオ部分などの映像は4対3に縮小され、残された部分には高精彩度の3Dグラフィックで金融街の情報やデータなどが挿入されるという。CNBC側は、「我々の視聴者は投資家がほとんど。彼らが求める情報をふんだんに提供することが出来る」と説明している。

4対3の画像部分は現行のスタンダード・デジタル(SD)方式で制作されたものをHD画像(1080i形式)にアップ・コンバートされる予定。本格的なHD放送とは一線を画したものだが、同局関係者は小誌に対し、「スタジオ部分やキャスターをHDで見たい人がどれほどいるだろうか。視聴者が求めているものは、大切なデータなどを分かりやすく、かつ多様に見せることだ」と述べている。ビジネスチャンネルということもあり、合理的かつ現実的な選択と言えそうだ。