CNN、国内担当社長を更迭


 視聴率の低迷にあえぐ米CNNテレビは、国内版担当社長ジョナサン・クライン社長(写真・下)の更迭を決めた。米国向けのニュースを制作するCNNやCNNの姉妹局HLN(旧CNNヘッドライン・ニュース)、さらには海外配信を担当するCNNインターナショナルを統括するCNNワールドワイドのジム・ウォルトン社長が9月24日社内に向け発表した。クライン社長の後任には同日付でHLN担当責任者ケン・ジャウツ氏(写真・上)が任命された。CNNではプライムタイム番組の司会者交替やてこ入れ策が発表されたばかり。また、中間選挙を11月2日に控えたこの時点での交替劇に当惑を隠せない社員も少なくない模様。


ジャウツ氏は、ニュースを短い周期で繰り返し伝えるフォーマットを採り入れていた「ヘッドライン・ニュース」を、犯罪やセレブ関連の報道に重点を置く編成に大きく方向転換した立役者。チャンネル名もHLNに改名され、元検察官で歯に布着せぬ物言いで知られる法律問題評論家、ナンシー・グレイス氏をキャスターに採用するなど、トーク番組も積極的に採用した。今ではCNNの視聴率を上回る日があるほどの成功に導いた手腕が買われた模様だ。


一方、クライン社長は、CBSニュースなどを経て約6年前に現職についたが、最近は、特にプライムタイム番組が深刻な視聴率不振に陥り、ライバルのニュース専門局、Foxニュース・チャンネルやNBCユニバーサル傘下のMSNBCにおされ気味だった。今年8月のプライムタイム(午後8-11時)の視聴者数は10年来最悪を記録している(9月17日号既報)。クライン氏は、同日発表したコメントの中で、「CNNは私が社長に就任した6年前に比べ、内容的にも財政的にも強くなった。アンダーソン・クーパやサンジェイ・グプタなど世界的に著名なニュースのスーパースターも育っている」などと成果をアピールしている。


保守的な報道でいまや揺ぎ無いニュース専門局の王者になったFoxニュース・チャンネルとリベラル色を全面に押し出したMSNBCの狭間に立ち、クライン社長は中立的な報道姿勢を堅持したが、視聴率競争では決定的な敗北を喫する結果となった。